第6話
少女の瞳が動揺で揺らぐ。
このまま順調に進めば、この場は無事に通過できそうだ。ソーライは言葉を続けた。
「ああ。だから俺は空から来たんだ。神様に怒りを鎮めてもらおうと思ってね」
「なんだ、そういうことか! ならば話は早い!」
今まで険しかった少女の顔は、ぱっと明るくなった。やっとこの場を解放してもらえるようだ。そう思った矢先。
「では早速ばば様に会ってくれ」
そうすんなりは通してくれないらしい。
端末にそっと視線を落とすと、身体が耐えうる時間は残り十五分ほど。外気温はさらに上がってきている。急いだ方がよさそうだ。
「ソーライ、と言ったか。私はナルハ。今からばば様のところへ案内する。ついて来い」
「ありがとうナルハ、助かるよ。申し訳ないけど少し急いでもらえるかな。あと十五分……いや、十分くらいしか時間がない」
「安心いたせ。この村は広くない。ばば様の宮もほら、目の前だ」
目の前には、周りの家々よりも二回りほど大きな建物があった。朱塗りの柱が、ここに何やら神聖なものを
端末の外気温計はただいま四十五度八分。体内の水分は枯れてゆき、もはやこぼれる汗すら残っていない。隣りを歩くナルハも、口には出さないが辛そうな顔をしている。
それからふと、端末の座標値に目をやった。すると目的地の数値と二座標しか違わないことに気がついた。もしかしたらVT166はこの建物の中なのだろうか。
「ばばさまー」
正面の思い扉を押し開けながら、ナルハが室内に声をかける。
彼女に続いてソーライが中に入ると、建物内は意外にもひんやりとしていた。スポットの影響なのかもしれない。
中央の祭壇前に座る小さな人影が目に入った。
「ばば様、客だよ」
「客? 今頃か?」
彼女は
「初めまして、俺はソーライ」
「……何用だ」
ばば様が疑わしげな視線でソーライを見る。
(そうなる、そうなるよなあー)
ソーライは内心ため息をついた。ナルハにしたのと同じ話をしなければならないのだろうか。果たして彼女に『熱暴走』は通じるのだろうか。
「……熱暴走を止めにきたんだ」
「熱暴走? リフティフ神の怒りのことか」
よかった、どうやら通じたようだ。
こっそりと安堵するソーライをおいて、彼女は言葉を続けた。
「無駄だよ。ここまできたら怒りを鎮めるすべはない」
「そこまで分かっていて、なんでシャトルに乗らなかったんだ? ちゃんとここまで避難勧告は届いたはずだ」
「きたとも。しかし我ら地の民はここを離れるわけにはいかぬ」
やはり彼女もナルハと同じように強い拒否を示した。
タイムリミットは刻一刻と迫る。
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