第4話
ソーライが乗った小型シャトルは、あらかじめ機体にインプットされている離着陸航路を通り、無事に大気圏を通過した。
平原に着陸すると、通信機能の確認も含めて、シュラーへ連絡を取ってみる。
「こちらソーライ。ヴィアーサの航空基地に着陸した」
<ああ、無事に着陸できたようだな。本艦からも確認できている>
コックピットのスピーカーからシュラーの声が聞こえてきた。今のところ、熱による通信網や機体への影響などはないようだ。
ソーライは外気温計の数値を読み上げた。
「外気温は四十三度、湿度八パーセント、宇宙光線通過率は十七パーセントだ」
<やはり熱暴走の影響がかなり強く出てきているな。冷却チップは忘れずに持っているだろうな」
「任せておけ、左胸のポケットだ。今からVT166へ装置を設置しに行く。まずはこのまま近郊まで飛行する」
<了解した。念の為、手順をもう一度説明しておく。VT166に到着したら、地面にチップを置く。地面の上に障害物があった場合はその上でもいい、出来うる限り地面に近いところに設置しろ。もし水だった場合は、水面に浮かべるだけでいい>
惑星には、人体と同じように無数のツボがあるという。
それぞれのツボには役割があって、ソーライが今から向かおうとしているのは、惑星全体を急激にクールダウンさせる機能を持つスポットだ。
しかしよくよく考えれば、こんなツボがあるなんて恐ろしい。やろうと思えば、人為的に氷河期を創ることも可能というわけだ。そしてその情報は星間輸送管理局の極秘事項となっている。そこがせめてもの救いか。
<装置を置いたら安全弁を解除して……>
「ここの赤いボタンを押すんだったな」
ソーライは胸ポケットから取り出した小さな冷却チップを確認する。
<そうだ。そうすると横から青い端子が出てくる。これと赤い端子を繋げる>
「繋げてから三十秒後に装置が発動、か」
<ああ。お前はその三十秒の間に全力で走れ。そして五十メートル以上退避しろ>
「五十メートル以内にいたら、凍りついちまうんだったか」
発動した装置は広範囲に渡って氷点下を作り出す。その仕組みについては割愛するが、凍った冷却チップが起爆剤となってツボを刺激し、惑星を急激に冷やすのだそうだ。その副作用として周囲のものがすべて凍結する。人も例外ではない。
<命を落とす危険性もあるからな>
「分かってる。全力で走るさ」
目的地に向かって飛行していると、前方に集落が見えてきた。
「シュラー。目的地は集落の中にあるみたいだ」
<分かった。現状で外に出た場合、三十分が限度だろう。火災による家屋の倒壊にも気をつけろ>
「俺は暑さにも強いんだぜ」
<それは体表の感覚にすぎない。熱暴走はすでに始まっている。ソーライ……油断はするな>
「了解」
三十分。意外と短い時間だ。
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