第2話
シュラーはまず宇宙船航行の仕組みについて話し始める。
「まず宇宙船の航路についてだが、航行していい経路が決まっている」
「適当に飛んだらダメなの⁈」
ソーライは声をあげた。
「皆が自分勝手に飛行したら衝突してしまうだろう。地上を走る移動車両とは違ってスピードが出ている宇宙船同士の事故は悲惨だ。それをなくすため、通過できるルートがきちんと定められているのだ」
「貨物船、戦艦、ミニシャトル、すべての飛行物はそのルートからはずれて走行してはならないのよ」
ユーリヤが補足する。
彼女の言葉にシュラーは頷くと、言葉を続けた。
「しかしそれが原因で、その固定経路に強い電磁波の流れができてしまっているのだ」
「電磁波って人体に害はないんだろ?」
「それは低周波の場合だ。高密度だったり強い電磁波を浴びると、神経に刺激作用をもたらしたり発熱したりすることが確認されている」
「じゃあその宇宙船が作り出す電磁波で、人に害が起こるってこと?」
「害があるのは星に対してだ」
「星⁈」
シュラーの説明によると、宇宙船が作り出した電磁波の流れと、星の自転による惑星風の摩擦により、星の表面にわずかだが熱が発生するのだそうだ。
もちろん、そんな熱が発生しないよう星から離れた位置に航路は設定されているが、宇宙風の影響などで、時折、星の近くまで電磁波が流れてしまうらしい。
そのときの摩擦が大きいと、熱の渦が発生し、星を飲み込むように覆ってしまう。惑星内部の熱は逃げ場を失いオーバーヒートしてしまう。それを『熱暴走』と呼んでいるのだそうだ。
「暑いんだろうな……」
ソーライが呟くと、
「暑いなんぞというものではない。さきにも言ったように強大な電磁波は身体に多大な害をもたらす。また、熱渦がひどくなれば家屋は炎上し、人体は干からびてしまう。さらに乾いた空気が人体発火をもたらす。星一つ消すことだって容易い、宇宙史の中ではそうやって滅びていった惑星や衛星も多くある」
「……やばいじゃないか、それ」
「ああ。だから事前に防ぐ必要がある」
そういうと、シュラーは様子を伺うようにソーライを見た。
その視線の意図は読めなかったが、防げるということにソーライは喜んで声をあげた。
「防げるのか⁈」
「ああ、方法があるにはある」
「そうだよな。大きな星にはちゃんと回避装置があるんだもんな」
「だが、急がないと我々の身も危険だ」
「……どういうこと?」
首を傾げたソーライに、シュラーは眉間に深い皺を刻みながら言った。
「つまり、我々で熱暴走解除装置を設置しにいく、ということだ。早くしないと、俺もお前も干からびる」
「え」
ソーライは改めて思うのだ。星間輸送管理局って、そういえば名前の響きとは裏腹に結構な脳筋組織なのだったなあと。
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