(Q)篭城
鈴星
★
暑い夏の日、俺は篭城した。
今までの居場所に不満があったんだ。キツイぜ、ほんと。
もううんざりだ!と別の居場所に探すこと数時間、運命的な出会いを果たした。
城だ。比喩でもなんでもなく、城があったのだ。
しかも誰も住んでいない。幸運だ。
そりゃあすぐに住み着いた。俺はこだわるタイプだが、これはもう一目惚れってやつだ。
誰にも取られないよう、入口で見張る。幸い同業者は来なかった。
しかし、そろそろ日暮れという頃、重大な事実に気づいた。
――移動できない…!
これじゃ他のやつに見せびらかすこともできやしない!
夕日が差す頃、さらに重大なことに気づいた。
――浸水している!
玄関の反対部分から城が崩れていた。
気づいた頃にはもう崩壊寸前。建て直す力なんて俺には無い。
新しいヤドを探さなくてはいけない。しかし移動ができないこのヤドでは、探しに行くために裸にならなければいけない。
さっきまでのヤドはいつの間にかどこかへ消えていた。
ついに城は波にさらわれた。
俺はヤドナシになった。
――誰か、ヤドをかしてくれ……。
答え
↓
ヤドカリ
※ ヤドカリはこだわりが強いです。貝選びは真剣に行います。
(Q)篭城 鈴星 @seika-bell
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