第21話「太陽の隣に輝く星(本編最終話)」

 獣人国に柔らかな陽光が降り注ぐ、穏やかな日。王都は、国中から集まった獣人たちの熱気と祝福の声に包まれていた。


 今日、この国の王であるカイゼルと、異世界から来た賢者ミコトの番いの儀式が執り行われるのだ。


 俺は、この国のために特別に誂えられた白地に金糸の刺繍が施された美しい衣装を身にまとっていた。隣に立つカイゼルもまた、王の威厳を示す豪華な礼装に身を包んでいる。その姿は、まるで太陽そのもののように眩しかった。


 王城の最も大きな広場に設けられた祭壇の前で、俺たちは民衆を前にして向かい合った。


 古くから伝わる獣人国の儀式に則り、神官が厳かに祝詞を読み上げる。そして、カイゼルが俺の手を取りその黄金の瞳で真っ直ぐに俺を見つめた。


「ミコト」


 彼の声が、広場中に響き渡る。


「お前と出会うまで、俺の世界は無味乾燥なものだった。王として国を治めること、それだけが俺のすべてだった。だが、お前が俺に愛を、温もりを、そして嫉妬という厄介な感情さえも教えてくれた」


 会場から、くすくすと笑いが漏れる。俺は恥ずかしくて顔が赤くなった。


「お前は俺の唯一だ。この命尽きるまで、お前だけを愛し守り、そして求め続けることを、ここにいるすべての民と古き神々の名において誓う」


 彼はそう言うと、俺の左手の薬指に黄金に輝く指輪をそっとはめた。


 次は、俺の番だった。俺は息を吸い込み、カイゼルの瞳を見つめ返す。


「カイゼル。俺は、役立たずとして捨てられた人間でした。生きる意味さえ見失いかけていた俺に、あなたは価値を与え、居場所をくれ、そして誰よりも深く愛してくれました」


 俺の声は、少し震えていた。


「俺には、あなたのような力はありません。でも、俺の持つすべての知識とこの命のすべてをかけて、あなたを支えます。太陽のように輝くあなたの隣で、この国の未来をあなたと共に記していきます。俺の人生を、あなたに捧げることを誓います」


 俺もまた、カイゼルの指に同じデザインの指輪をはめた。


 その瞬間、広場を埋め尽くした民衆から万雷の喝采が上がり、祝福の声が空に響き渡った。


「獅子王陛下、万歳! 賢妃様、万歳!」


 カイゼルは満足げに微笑むと俺の腰を引き寄せ、民衆の前で深く、情熱的な口づけを交わした。


 歓声が、さらに大きくなる。


 外れ聖女と厄介払いされた、元図書館司書。


 冷徹と呼ばれた、孤高の獅子王。


 出会うはずのなかった二人が結ばれ、その愛が獣人国ライオネルの新たな歴史の、輝かしい1ページ目を飾った。

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