第5話 熊、南を睨む 〜 沖田畷(おきたなわて)の激突

📌 テーマ: 「慢心の頂点」と「戦略の終着点」

龍造寺隆信の頂点に達した慢心と、それを冷静に見透かす**島津義久(高嶋政宏)**の緻密な謀略が激突。九州統一を懸けた二大勢力の最終決戦の火蓋が切られる。

​📜 あらすじ:前半

​⛰️ 九州の頂点と影

​時代:天正12年(1584年)

場所:肥前・佐賀城(龍造寺本拠)

​北部九州全域を手中に収めた**龍造寺隆信(遠藤憲一)**は、「九州の龍」として、勝利への確信に満ちていた。

隆信:「この世の天下、もはや儂を止められる者はおらぬ!残るは南の田舎者(島津)のみ!」

​しかし、生母、**慶誾尼(高橋惠子)**は、隆信の過度な自信と、連戦による領内統治の不安定さに不安を募らせる。

慶誾尼:「殿、急ぎすぎです。広げすぎた領地はまだ地盤が固まっておりません。島津殿は、必ずその隙を突いてきます。」

​🌊 島津、戦いの布石

​場所:薩摩・内城(島津本拠)

​**島津義久(高嶋政宏)**は、隆信の慢心と、それに伴う粗雑な領国支配を細部にわたって分析していた。

義久:「龍造寺は、広大な領地を得たが、その分、その領地を維持するための兵站へいたんと、国人衆の心を得るという二つの鎖に縛られている。」

​義久は、龍造寺氏の統治に不満を持つ国人衆、特に筑後・肥前の一部勢力への内応工作を、弟の**島津歳久(寺脇康文)**に秘密裏に命じる。

​そして、肥前の有力国人である**有馬晴信(細川茂樹)**からの救援要請が入る。有馬晴信は、隆信の圧政に耐えかね、島津に寝返りを決意した。

​義久は、この要請こそが龍造寺を誘い出す絶好の機会と見抜く。


 義久(高嶋政宏):「機は熟した。龍造寺隆信を、彼の領地の、最も狭く、最も湿った場所で迎え討つ。我らは焦らぬ、彼らを待つのみ。」

📜 あらすじ:後半

​💥 肥前の大進撃

​場所:肥前・島原半島

​島津の軍勢が肥前の有馬氏を救援すべく島原半島に上陸。これを聞いた**龍造寺隆信(遠藤憲一)**は、重臣の諫言を無視し、自ら大軍(2万5千)を率いて出陣することを決意。

隆信:「この熊が、自ら島津の小勢を叩き潰してくれる。そしてそのまま薩摩へ攻め入る!」

​⚔️ 沖田畷の激突

​場所:沖田畷(島原半島)

​島津軍は、**島津家久(ディーン・フジオカ)を大将とし、数で劣る8千の精鋭で、龍造寺軍を迎撃する。

家久は、島原半島の中央にある湿地帯と細い道が入り組んだ沖田畷おきたなわて**に陣を敷く。

​龍造寺軍は狭い湿地で機動力を活かせず、たちまち混乱。島津家久は、伝家の宝刀である釣り野伏せの戦術を駆使し、龍造寺軍の本陣に肉薄する。

​**龍造寺隆信(遠藤憲一)**は、戦場を軽視した慢心ゆえに対応が遅れ、ついに本陣を包囲される。

隆信は奮戦するも、島津軍の猛攻の前に討ち取られ、肥前の熊の世は終わりを告げる。

​**鍋島直茂(神田正輝)**は、主君の首級を守り、辛くも残党を率いて肥前へ撤退。この敗戦により、龍造寺氏の北部九州支配は一夜にして崩壊する。

​⚔️ 結び

​**島津義久(高嶋政宏)**は、沖田畷での勝利の報を受け、静かに弟たちに告げる。

義久:「龍は、飛び上がりすぎた。地に着かず、ただ空を舞いすぎたのだ。これで九州は、我らの手中に収まった。」

​ナレーション:「沖田畷の戦い。それは、龍造寺隆信の慢心の終着点であり、**静かなる覇者・島津義久(高嶋政宏)**の、九州統一への起点となった。これより、九州の覇権は、完全に島津氏の手に委ねられることになる――。」

​🎭 第5話 新キャスト

​島津 義久:高嶋 政宏

​島津四兄弟の長男。冷静沈着で戦略に長けた九州の静かなる覇者。隆信の慢心を見抜き、沖田畷での大勝に導く。

​島津 歳久:寺脇 康文 \leftarrow (配役変更)

​島津四兄弟の三男。内政・謀略に長け、義久の命で龍造寺領の国人衆への調略工作を担当し、大戦を裏から支える。

​有馬 晴信:細川 茂樹

​肥前の有力国人。龍造寺隆信の圧政に耐えかね、島津氏に救援を要請し、沖田畷の戦いのきっかけを作る。

​島津 家久:ディーン・フジオカ

​島津四兄弟の四男。軍事の天才であり、沖田畷の戦いの総大将。少数の兵力で、釣り野伏せを駆使し、龍造寺の大軍を打ち破る歴史的な勝利を収める。

​この第5話の結末で、島津氏の九州統一が目前となりました。

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