静かな日常が、確実に追い詰められていく記録

日記形式を使った構成が非常に効果的で、読み進めるほどに不安がじわじわと蓄積していく作品でした。
最初は気楽な短期バイトの話だったはずが、少しずつ違和感が混ざり込み、黒い影の存在が日常の延長線上に溶け込んでいく流れがとても巧みです。

特に印象的なのは、本家の人物が終始どこか他人事で、恐怖と理屈のズレが読者の神経を逆撫でするところですね。
説明されないまま作業を続けさせられ、主人公だけが状況に気づいていく孤立感が強く伝わってきます。

終盤に向かって文章が崩れていく演出も秀逸で、理解と同時に手遅れになる感覚が強烈でした。
派手な怪異ではなく、記録という形で恐怖を積み重ねていく、非常に完成度の高いホラーです。