Episode18 談笑

コムロ「じゃあ仲直りということで最後は5人で歌いませんか?」


リヨン「…?ここには3人しかいませんよ?」


コムロ「大事な2人を忘れていますよ。呼んでくるので少し待っていてください」


そういうとコムロはある2人を呼びに行った。


数分後

コムロ「連れてきましたよ」


コムロの後ろにはさっきリヨンに殴られたジョンと治療に回っていた執事がいた。


コムロ「さぁ、この5人で歌いましょう」


リヨン「待ってください」


コムロ「どうかしましたか?」


リヨン「私、やっぱり怖くて歌えません」


コムロ「大丈夫です。あなたはションソン・デ・ラ・モーンの持ち主ではありません。さぁ、一緒に歌いましょう」


コムロがそう言ってもなかなか歌わなかったが、4人が歌い出すと自分も歌いたくなったのか途中から歌に加わった。5人の音色がシーランス王国を包み込む。5人は楽しく歌い終わったあとリヨンの顔には笑顔が溢れていた。


リヨン「皆さんありがとうございます。歌うことの楽しさをもう一度確認することができました」


コムロ「お礼はいりません」


リヨン「コムロさん。この後お時間ありますか」


コムロ「えぇ。ありますよ」


リヨン「少しお話したいことがあるので」


コムロ「わかりました」


トロア「では、僕もここで失礼するよ。門の前にいる人たちには僕から事情を説明しておくよ」


ジョン「ありがとうございます!じゃあ僕は一足先にホテルに戻っていますね!」


時刻は午後9時を指していた。月の光と星の光が2人の空間を包んでいる。コムロとリヨンは少し小高い丘に登ってきた。


リヨン「ここがシーランス王国を一望できる場所です」


コムロ「こんなところがあったんですね」


リヨン「ここは私のお気に入りスポットです」


12月のシーランス王国、風は冷たく気温も低くなっている。しかし、2人の周りだけは春先のようなあたたかさに包まれていた。


コムロ「ところで話とは一体なんでしょう?」


リヨンは何か決心したようだった。


リヨン「改めて私を救って下さりありがとうございました。私がションソン・デ・ラ・モーンを歌うと知った時はこの後の人生をどう過ごしていこうかということまで考えていました。ですが、コムロさんが救ってくださったおかげで私の人生は彩られると思いました。そんな私を助けるコムロさんがこの世で1番かっこいいと思います」


リヨンは話をしながらコムロの手を握った。


リヨン「よければこれからも時間があればシーランス王国に来て私とお話しませんか?」


コムロ「えぇ、もちろん」


リヨンはそっと手を離し、小さな紙切れを渡してきた。


リヨン「これ、私のLANEです。こちらに来る時は連絡してください。リムジンでお迎えにいきます。もちろんこちらに来ない時も連絡していただいても構いません」


コムロ「ありがとうございます」


コムロはそれを受け取り胸ポケットにしまった。


リヨン「話したかったことはこれだけです。私はこれからも歌い続けます。だからもう心配しないでください」


コムロ「私はもうリヨンさんのことは一切心配しません。なぜならもうリヨンさんは立派な心を持っているからです。今回の事件でリヨンさんの心は大きく成長した。私はそう思うのです」


リヨン「コムロさん…」


コムロ「さて、そろそろお家に戻りましょう。執事が心配しますよ」


リヨン「そうですね」


そして2人は足元に気をつけながら家に戻った。


翌日。コムロとジョンはティブロに帰る前、リヨンの家に寄った。


リヨン「本当に帰ってしまうのですか?」


コムロ「えぇ、残念ながら。しかし必ずやここに戻ってきます」


ジョン「また来た時はリヨンさんに会いに来ますね!」


リヨン「ありがとうございます」


トロア「じゃあ気をつけて帰るんだよ」


コムロ「あぁ。トロアも体調とか気をつけろよ。もちろんリヨンさんも」


軽く談笑を終えたコムロとジョンは駅に向かって歩いていった。リヨンとトロアは2人が見えなくなるまで手を振ってくれた。


ジョン「今回の事件も無事解決ですね!」


コムロ「そうだな。帰ったらまた新しい任務が届いているかもな」


ジョン「ですね!」


2人の旅はまだまだ続くのであった。


Season2 Fin.







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Season2 名探偵コムロと異国の歌姫 〜第20作目〜 きっちゃん @ryusei071105

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