Episode5 亡国の噂

リヨンは隣の部屋から大量の書物を持ってきた。リヨンはそれを1ページずつめくりながら話し始めた。


リヨン「シーランス王国はおよそ500年前にボルドーというお方がブワ王国から独立を果たしました。ブワ王国は社会主義国家であり、皆平等という考えが強い傾向がありました。しかし、シーランス王国は資本主義国家。独立してから50年程はブワ王国との戦争が相次いで起きていました。結果はシーランス王国の圧勝でした。それに不満を持ったのかブワ王国の方たちはシーランス王国に悪い噂を流すようになりました。9割方その噂は瞬時に無くなったのですが、今でも残っている噂があるのです」


コムロ「それが「シーランス王国の歌を聞くと死ぬ」というやつですか?」


リヨン「仰る通りです」


コムロ「しかもションソン・デ・ラ・モーンを歌う女性がいると」


リヨン「よく調べておりますね」


コムロ「実際にションソン・デ・ラ・モーンを歌う女性はいらっしゃるのですか?」


リヨン「いるとは言われています。その可能性は高いです。しかし、誰が歌うのかは分かりません」


やはり、誰がションソン・デ・ラ・モーンを歌うのかは分からないらしい。


コムロ「少しお聞きしたいことがあるのですが」


リヨン「なんでしょう?」


コムロ「あなたのお宅に来る前にここの国の人達に「なぜこの国の音楽を歌わないのか」と聞いたところ「母や父に歌うなと言われた」という方が多数いたのですがその理由とかご存知だったりしますか?」


リヨン「それは先程の歴史と関係してきます。長年そのような噂が流されてきたものですから「もし私の子がションソン・デ・ラ・モーンを歌う子だったらどうしよう」と不安があるのでしょう」


コムロ「そのような理由が…」


コムロはしばらく口を開けることが出来なかった。


コムロ「貴重なお話ありがとうございます」


リヨン「また何か聞きたいことがあればいらしてください。いつでも歓迎致します」


コムロ「ありがとうございます。では、失礼します」


コムロは恐る恐る扉を閉めた。開けた時よりも重くなっているような気がした。


リヨン「さて、私はこれらの書物を片付けにいきましょうか」


リヨンは隣の部屋から持ってきた大量の書物を片付けに行った。


リヨン「これはここですね」


バサ!


リヨンが書物を片付けようとすると隣から違う本が落ちてきた。見てみるとそれはリヨンが幼い頃に書いていた日記だった。


リヨン「懐かしいですね。少し読んで見ましょう」


リヨンは懐かしい気持ちになりながら1ページずつ捲った。






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