Episode3 シークレット

コムロとジョンはまた歌っている人を見つけた。またもやここの言語では無さそうだ。とりあえず声をかけてみることにした。


コムロ「すみません。少しお尋ねしたいことがあるのですが」


町人Ⅱ「はい、どうしましたか」


コムロ「今歌っていた音楽について詳しく聞きたいなと思いまして」


町人Ⅱ「なるほど。どのようなことを聞きたいのですか?」


コムロ「先程の音楽、ここの国の言葉ではなさそうな気がしたのですが」


町人Ⅱ「この音楽はブワ王国時代にできたものです。ブワ王国の名前の由来を聞いたことがありますか?」


コムロ「存じ上げません」


町人Ⅱ「「ブワ」は「有声」を表す言葉で、名前の通り音楽に溢れていた国でした。ちなみにこの音楽の言語は「ブワ語」と言われ、今では音楽以外のところではほぼ使われません」


コムロ「シーランス王国の音楽は聞いたり歌ったりしないのですか?」


町人Ⅱ「はい。代々聞くなや歌うなと言われておりまして」


やっぱりこの方も昔からシーランス王国の音楽を聞いたり、歌ったりするのは駄目だと言われているようだ。


コムロ「理由などお聞きにならなかったのですか?」


町人Ⅱ「理由を聞いたことがあったのですが、母や父も叔父も叔母も理由を知らないと言われました」


コムロ「なるほど。聞きたいことは済みました。お時間ありがとうございました」


やはり、ここでもブワ王国の音楽を歌っていた。新たな情報としては「ブワ王国の由来は有声という意味である」「昔からシーランス王国の音楽を聞くことや歌うことは禁じられている」ということである。コムロとジョンはまた違う人に聞くことにした。


コムロ「次で最後だな」


ジョン「ですね!」


コムロ達の聞き込みは絶対3人で終わるようにしている。コムロによると3人聞けば共通点が見いだせるという単純な理由であった。

コムロ達は閑静な北側の地域にやってきた。ここにも歌っている人はちらほらいる。中でも特に大きな声で気持ちよさそうに歌っている人に声をかけた。


町人Ⅲ「♪♪♪〜〜!」


コムロ「すみません、少しお尋ねしたいのですが」


町人Ⅲ「ん?どうした?」


コムロ「今歌っていた音楽についていくつか気になることがあるのですが」


町人Ⅲ「あぁ、俺が歌ってたやつか!これはブワ王国時代の音楽で、ここら辺ではよく歌われているぞ!」


コムロ「シーランス王国の音楽は歌わないのですか?」


町人Ⅲ「両親から「シーランス王国の音楽を歌うと死ぬから歌うな」ってよく言われていたから歌わないな!」


コムロ「シーランス王国の音楽を歌うと死ぬ?」


町人Ⅲ「あぁ、シーランス王国の都市伝説って聞いたことあるか?」


コムロ「えぇ、隣の助手からお聞きしたことはあります」


町人Ⅲ「なら話は早いな!」




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