ダイヤモンド編最終話 第68話 極秘国家事業になったみたい

 十人掛けのテーブルがある王城の会議室。


 陛下は腕を組み、非常に険しい顔で、何やら思考中。


 エリザベート様はやたらとニコニコしていた。


 マライアさんは僕の隣で、赤い顔のままモジモジと俯いている。


 そしてもう一人、陛下とエリザベート様の間に座る美しい貴婦人。金髪のロール髪は――。


「ルシアさん、初めまして、お話はレスティーナから伺っていおりますわ、オホホ」


 レスティーナ様のお母さん。つまり第一王妃様のマーガリタ様だ。


「ル、ルシアと申します。お、王女様とは大変懇意にさせていただいております」


「ルシアさんは先生なのですから、私の方こそ、娘へのご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしますと、言わせていただきますわ、オホホ」


 僕は恐縮しながら頭を下げた。


「ルシアさんは学院では大変ご活躍されていると、娘から伺っておりますわ」


「い、いえ、それほどでも……」


「オホホ、ルシアさんの算数の授業は城の者たちも受けたいと、私の元に嘆願書が届くほどですわよ」


「えっ、そんな事になっているのですか?」


「ええ、レスティーナが持ち帰る教材を皆のものが楽しみにしてますの、オホホ」


「そ、そうなんですね」


 ん〜、これはしっかりとした教科書を作ったほうがいいかもしれないな。





「失礼します」


 会議室に現れたのは金髪のイケメン好青年。身なりも陛下に負けず劣らず。青いコートに唐草模様の金の刺繍。只者じゃない。


「来たか、ソラン」


 ソランって、たしか……第一王子様だ。


「父上のお呼びとあれば即参上しますよ」


 そして王子は部屋を見渡し、僕とも目があった。


「アハハ、これは面白そうな話が聞けそうですね」


 爽やかな笑顔、モテ男確定。そして――僕の隣の席に着座した。


 何故に!?


「初めまして、黒髪の魔術師様。僕はソラン。よろしくね」


 白い歯がキランと輝いたような錯覚さえ覚えるイケメンスマイル。そして差し伸べられた右手。


「は、初めまして、ルシアです」


 僕はおどおどとその手を握った。


「ソラン、ここでの話は他言無用。他の王族、更には宰相や将軍たちにも話してはならん」


 ソラン様は再び一同の顔を見て――


「心得ました、父上」


 こうして王家を巻き込んだダイヤモンド生産計画の話し合いが始まった。





「そ、そのような魔法陣があるのですかッ!」


 驚いた声のソラン様。


「ああ、ある。しかも、さっき出来た……」


 何故か僕を睨む陛下。


「はっ? さっき……出来た?」


「フフ、ルシアさんですからね」


 終始笑みを絶やさないエリザベート様。


「オホホ、娘から伺った通り破天荒ですわね」


 とのマーガリタ様の言葉に、何故かマライアさんが「すみません」と頭を下げた。





「鉱山村を孤立か。確かにそれなら秘匿できる……か?」


 陛下が計画のあらすじをソラン様に話した。そしてソラン様が問題になる点を上げていく。


 鉱山村への物流、職人とその家族の生活保障、刑期を終えた囚人の対応など、ちょっと話を聞いただけでスラスラと言い当てるソラン様の思慮深さが半端ない。


「分かりました。全体指揮は僕が取ります。ロンズデール嬢もそれでいいかい?」


「御意にございます、殿下」


「もちろん分け前は按分するから安心してくれ」


 こうしてダイヤモンドの件は僕の手を離れ、極秘国家事業となった。ミコラさん、頑張って下さい!


 ……あれ? 何か忘れているような?


 何だっけ?


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