ダイヤモンド編 第63話 お金がない

「皆さんの魔法適性を教えてください」


 この世界には魔法適性なるものがある。魔力があっても魔法適性がないと魔法は使えない。


 また、魔法適性は適性の質によって個人の限界が決まっている。


「オホホ、私は第五位階までの魔法が使えましてよ。属性は火属性、風属性、土属性ですわ」


「凄いや、さすがは王女様だ!」


 それを聞いたカンナは目を輝かせている。


「ただ私は魔力量があまり多くはないので、ルシアさ――先生が発見しました二重魔法陣の研究を行いたいですわ」


「うん。そちらの研究をお願いするよ。僕なんか先日、シャロン先生の授業中に三重魔法陣を失敗して、練習場は水びたしにしちゃってさ」


「まあ、それは素晴らしいですわ」


 あれ? シャロン先生からは大目玉だったけど、レスティーナ様からは褒められた。


「三重魔法陣を制御出来なくとも、発動までに至る成果。さすがはルシア先生ですわ。そのお話を伺って俄然やる気が湧いて来ましたわ」


 よくは分からないけど、レスティーナ様のやる気パワーは凄そうだ。レスティーナ様の隣に立つアンソニー君が深いため息を吐いた。


「私は第四位階の魔法、属性は水と風です」


「ボクは第三位階まで、属性は土だよ」


「ぼ、ぼくは第二位階で、属、属性は風です」


 これでみんなの魔法適性を知ることができた。


「ルシア先生! 先生の魔力適性を教えてください」


 カンナさんからの質問。なんて答えよう。


「僕は六属性が使えるよ。あとは企業秘密」


「「「えぇぇぇぇぇっ!」」」


「ルシア先生、マジ凄いよ! カッケぇ!」


「ぼ、ぼく、六属性なんて初めて聞いたよ」


「ま、まさか……そんなことが」


 レスティーナ様を除くみんなが驚いていた。


「さすがはルシア様ですわ、オホホ」


 レスティーナ様だけは何故か胸をはっていた。





 その日の夕方、僕は転位魔法で鉱山村の領主邸を訪れていた。


「お金が欲しい?」


(私に会いに来てくれたのかと思いきや、金策とは……)


 あれ? 今、キッて睨まれた?


 僕は金策のために早くもマライアさんに泣きついていたのだが、マライアさんの顔は少し怒っているように見えた。


 いや、今は金策だ。


 僕は実家では軟禁されていたからお金など無い。鉱山での囚人生活で稼いだお金は子供のお小遣いより少ない。


 しかし研究生を雇った以上、アルバイト代程度の給与は払うべきだ。


 だが、お金がない……。


「はい。研究生に払うお金がありません。初任給が入れば何とかなると思いますが、今は全くお金がありません」


 僕は学院の研究会のことを一から話した。


 給与に関しては研究員生もいらないと言っていたけど、あの収容所でさえ働けばお金が貰えたのだ。


 僕は誓う、前世のブラック企業の名にかけて、必ず給与を払うと!


「それでルシアのことだ。何かアイディアがあるのだろ?」


「はい。僕の手持ちのダイヤモンド、売る事はできませんか?」


「なっ!? あれを売るのか」


 マライアさんは驚いた顔をしたが、続けて悩み顔になった。


「売るのなら母上と言いたい所だが、領都はまだ復興の途中だ」


 す、すみません。


「叔母様なら……いや、王家には売るのは難しいか」


「王家には売れないんですか?」


「ああ、父上の対面もあるからな。ダイヤモンドであれば王家に献上すべき品物だ」


 更に悩むマライアさんだったが、ポンッと手を打ちニヤリと笑った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る