囚人編最終話 第26話 別れ
マライアさんの執務室。
隣村から戻った僕とカテジナさんは、夕食前のマライアさんを捕まえて、村長との会談報告を行っていた。
「もう帰って来たのか? カテジナからは今夜は向こうの村に宿泊する予定と聞いていたが……」
そう言ってカテジナさんを見るマライアさん。カテジナさんは館に戻ってからも、体調が悪そうだったので僕が答えた。
「はい。村長からは部屋を充てがって貰ったのですが、ベットが一台しか無かったので、流石に狭いかなと思い『転移』魔法で帰ってきました」
「転移魔法!? ルシア、お前、転移魔法も使えるのか!」
「はい。言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないぞ」
(第九位階の転移魔法をサラッと言いやがって……)
「はぁ〜、まぁ、それは良かったな、カテジナ」
少しニヤけた顔のマライアさん。
「はい、マライア様としては喜ばしい事と存じます」
「ま、まぁ、そうだな。それで村長は何か言っていたか?」
「オークの襲撃にあった時に、こちらからの救援が期待出来ない事を危惧されておりました」
「そこか。街道の復旧には数カ月はかかるだろうからな」
マライアさんは執務机に肘をつき、思案顔で目を閉じた。
そんな時、やたら美味しそうな匂いが立ち込めてきた。僕のお腹がそれに反応してグゥ〜とアピール音を鳴らした。
「夕食の準備が整ったようだな。話は食事をしながらするとしよう」
マライアさんがクスっと笑う。また僕のお腹がグゥ〜となったものだから、カテジナさんもクスクスと笑いだした。
ちょっと恥ずかしかったけど、カテジナさんが笑ってくれたので少し安心した。
◇
「ルシア君、今度こそ、さよならだね」
翌日。僕はカテジナさんと一緒に隣村の手前にある街道沿いの草原に来ていた。昨日と違うのは、ミコラさんと冒険者の皆さんがいる事だ。
街道が使い物にならなくなったため、転移魔法で皆さんをここまで連れてきていた。
「ミコラさんも、今度こそお元気で」
握手を交わす僕に、冒険者のオルガさんも手を伸ばしてきた。
「ルシア、冒険者に依頼があれば比翼の鷹を指名してくれよな」
オルガさんと奥さんのノーラさんとはオーク戦の帰り道に、僕が冒険者について色々と質問したりした事で仲良くなった。
「はい。って言うか僕が冒険者になったら一緒に冒険者して下さい。ダンジョンとか潜ってみたいので」
「えっ!?」
「な、何ですか、その『えっ』は?」
「い、いや、なんかルシアの魔法でダンジョンが吹き飛ぶ未来が、一瞬見えた気がした」
「まさかぁ、いくら僕でもそんな事はしませんよ〜」
あははと笑う僕。でもミコラさんも交え、あると思います、みたいな顔で僕を見ていた。
僕ってそんなに信用ない?
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