幼年期編 第5話 夜空を飛ぶ五歳児はお肉求めて魔法狩り
大精霊エストリアが僕の右手の掌に施した魔法陣は凄いものだった。
「『飛翔』」
月明かりが照らす夜の空、僕は木の塀で囲まれた離れの建物から飛び立ち、僅かな明かりが点々としている男爵領の町を見下ろす。
「ん〜、夜の空気の匂い、いい感じだ」
右手の魔法陣は第二位階以上の魔法も使う事が出来る魔法陣だった。今までの第一位階の魔法陣は漢字一文字縛りだったが、この魔法陣は漢字五文字まで使う事が出来た。
しかし漢字が使える理由は今も不明。もしもう一度エストリア様に会えれば【カンジ】の事を聞いてみたい。
「さて、今日も行くか」
そして魔法と言えば使いたくなるのが攻撃魔法だ。男の子なのだから強さに憧れを持つのは仕方がない。
僕は魔法を試したくて町から少し離れた農村に向かって星空の下を飛んで行く。
「『索敵』」
「いたいた、『暗視』」
暗闇でもそこそこ見える暗視の魔法。畑を荒らすブラックドッグが三頭いるのが確認出来た。
「はぁ〜、また魔物かぁ」
溜息が出た理由はブラックドッグはお肉ではないからだ。ここ数日で倒したのも非お肉系の魔物ばかり。ブラックドッグも『鑑定』の魔法で食肉にならない事は分かっていた。
「猪とか鹿とかいないのかよ!」
僕はこの世界に生まれてからお肉を食べていない。離れで出される料理は温野菜と硬いパンにスープ。ウインナーやベーコンぐらい出ても良いと僕は思うよ。
「『高速石弾』✕3」
高速石弾の魔法は書いて字の如く、石の弾を高速で飛ばす魔法。手の平の先に三つの白く輝く魔法陣が現れ、各魔法陣から一発ずつ石弾が放たれる。
数日前に『光速石弾』や『音速石弾』などもやってみたが、光速石弾は発射と同時に石の弾が空気抵抗に負けて四散し、音速石弾は着弾したらソニックウェーブで地面に大穴があいた。ブラックドッグあたりで使ったら被害が余計に出てしまう。
僕が放った三発の石弾は頭上を全く警戒していないブラックドッグ三頭の頭に風穴をあける。倒したブラックドッグは『異空間収納』の魔法で一応持ち帰る。死体を残すと、それを食べに他の魔物が寄ってくる可能性があるからね。
「はぁ〜、今日もお肉は無しか」
僕はガクリと肩を落とす。
「『転移』」
『転移』の魔法は、見えてる場所か記憶にある場所へ空間転移出来る魔法だ。僕は自室のベッドの上へと転移して布団に潜った。
「明日こそはお肉を」
そう誓い僕は眠りについた。
◇
そして、その願いが思わぬ人物との出会いを引き寄せる事になる。
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