『きみの音を追いかけて暮らしているんだよ』
作者さまによるこのキャッチコピーが素敵。
愛する人の気配を追い求めている一途な男性の姿が想い浮ぶではありませんか。
女性向けの恋愛小説といえば、一にも二にも、甘い夢を売るもの。
現実を忘れ、いかに読者をうっとりと夢見心地にさせるかが大事。
九月ソナタさんの作品からは、乙女が乙女であった時代の少女小説の薫りがします。
清純さ、あどけなさ、品の良さ、健気さ。
美しい所作や言葉遣い。
甘味と切なさの加減が、ちょうどよいのです。
山の上から花を撒くという不思議なことをやっている少女と、行倒れの若君との出会い。
目が見えなくなっている若君を懸命に介護する少女。
しかし彼の為にも別れの時はやってきて……。
会いたい。あなたに会いたい。
恋する者たちが大昔からずっと祈り続けてきた結末を、たくさんの良質な読書と古典の知識を土台にした作者の筆致にて、ぜひ。