第2話 粉ミルク

わたしは幼稚園に上がっても、哺乳瓶でミルクを飲んでいた。兄もだ。

「もう、友達の誰も飲んでない」

兄はある日、わたしと母に笑いながら言った。

わたしは、そうなのか、とちょっとびっくりした。

母は、いいじゃない、飲みたいんでしょ?飲みたいなら飲んでいいじゃない!

と言った。


わたしの幼稚園は、遠くにあった。毎朝母が自転車の後ろにわたしを乗せて、兄は自分の自転車をこいで通っていた。

おばあちゃん家が、幼稚園からすぐのところにあった。帰りに寄るのだ。

おばあちゃんは、お兄ちゃんに、よく自分のおっぱいを飲ませた。勿論、出ない。

母は、そんなおばあちゃんを睨んでいた。

時々、やめて!と言った。


母は、私達を粉ミルクで育てたそうだ。

その頃流行っていたから、粉ミルクにしたそうだ。

私に関しては、年子だったからもあるだろうな。

ちなみに、おばあちゃんは、兄にだけ、そうした。


哺乳瓶でミルクを飲む行為は、母がなかなかやめさせたくないようだった。

周りにやめさせるように長いこと言われて、やっとやめていた。

なんだったんだろう。

❤わたしは、幼稚園が嫌い。毎朝、門の前でお兄ちゃんと泣いてしまう。

先生たちも、登園が終わると、なんだか怖く感じる。

お昼ご飯、たまにパンを先生に頼む時、いつも小さな財布から百円玉1枚を朝に先生に渡すのだけど、お昼になると、今日パンだったか弁当だったか忘れてしまっていて、いつも先生の前をウロウロしていた。

みんな食べていても、自分がパンを頼んだかわからないから、しばらく長くウロウロする。

みんなクスクス笑っていた。

そのうち先生が、今日はパンでしょって声をかけてくれた。いつも、パンの日はこうやっていた。

全然頼んだの覚えてないけど、いつもメロンパンだったと思う。❤





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る