第1話 依頼
「改めて、あなたのことをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
ソファに向かい合うように座らせたルージュにラルクは聞いた。
「はい、私はレムレアブル宮殿1級使用人のハウス・ルージュと申します。その名刺が証拠です」
ラルクが手に持っている名刺を指差しながらルージュは身分を明かした。
「私は、5年前からレムレアブル宮殿の1級使用人として【ハート王子】に仕えていました。しかし先日、夕日の間で、王子が…うぅ」
「発見されたのはルージュさんですか?」
悲しみに暮れるルージュをよそにラルクは続ける。
「はい、私です…」
「周りに何か落ちていましたか、何でも構いません。発見された時のことをよく思い出して」
「いえ、何も…」
「被害者はどのような状態で亡くなっt…」
言いかけたところで
「一度休憩しましょうか。まだ、ルージュさんも傷が癒えてないと思うので」
そう言ってシェリーは奥の休憩室へルージュを案内する。
戻ってきたシェリーは怒りをあらわにし、ラルクに怒鳴った。
「あの人は第一発見者であり、ショックで心に傷を負ってるんですよ!?しかもレディーが涙を流してたら、ハンカチの一つでも渡してあげたらどうです?」
「俺は男だよ、ミラン君。女心などわからん」
「気持ちを汲み取ってあげろと言ってるんです!」
「分かったよ!でもこちらも仕事だから事件のことについて色々聞かなきゃならん。少しは俺の気持ちも分かってくれ」
戻ってきたルージュに対してラルクはやれやれとした表情で促す。
「そちらにタオルがあるので良ければどうぞ…」
すると、シェリーが素早く怒鳴ってきた。
「タオル!?ハンカチは?」
「持ってないよ」
「持ってない!?普段手を洗ったらどうしてるの?」
「そんなもの、自然乾燥に決まってるだろ」
「まぁ、汚らしい!」
汚物を見るような目でラルクを見た。
「何だその汚物を見るような目は!」
不毛なやり取りを続けているとルージュが立ち上がって
「あの!事件解決してくれるから話聞いてたんじゃないんですか!?」
ラルクとシェリーは冷静さを取り戻した。
「ゴホン、これは失礼。シェリー君、ハンカチの方を」
「はい」
ルージュはシェリーの方を振り向いてさらに怒鳴る。
「もう、涙引っ込みましたよ!」
冷静さを取り戻した2人は椅子にかけなおした。
「先ほどは大変失礼いたしました。一度、現場の方を見せてもらえますか?」
「分かりました。私が案内します」
ルージュの案内で3人は事件現場であるレムレアブル宮殿へと向かって行く。
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