第3話 リノは高位の精霊か?
俺は、意気揚々と契約したての水の精霊のリノを連れて自分の館に帰った。
父上にリノの精霊の力が、どれくらいのものか
この世界の魔法使いは、精霊と契約して力を貸してもらって魔法が使える訳なんだが。
強い魔法使いには、当然、位の高い精霊と契約が必要なんだ。
高位の精霊と契約を持つには2つの方法があるんだ。
上位の精霊と契約するか、下位の時に契約して育てていく方法である。当然、後者の方が時間がかかるが簡単である。
▲▽▲
俺の下には、母上にそっくりの双子の妹のベルベッティーヌとリリエンティーヌがいる。2人とも血筋に負けない魔法の力に恵まれていた。
2人が生まれた時には、それぞれ風や火の精霊が共に生まれ、それぞれ2人を祝福した。これは、生まれながらの契約で、『祝福』と呼ばれるものだ。
この手の精霊は、高位に育っていくのが確実で、『祝福』した人間の成長と共に、精霊の力も強くなってくるのが通例なのだが、リリエンティーヌの方の精霊は、成長が遅くて、思うように魔法が使えないのが不満なようだった。
だから、少し不安なんだ。リノの力がどれくらいなのか分からない以上、リリエンティーヌには近づきたくないが、父上にリノのことを視てもらわなければ……
「お兄様が帰ってきたわ。 水の精霊と契約したのよね? まぁ~ 珍しい格好をしてるわね」
屋敷に入るなり、双子の姉の方のベルベッティーヌがやって来て俺の左肩を見て言った。
「ベル、お前の『風の貴婦人』は耳が良すぎだぞ!」
「異世界からの転生者なのでしょう? 高位なのは確定じゃない。女神の特典付きで。私の『火のチビ姫』との交換でどう? お兄様」
案の定、リリエンティーヌが出てきた。
「何で女神の特典てなんだ?」
「それは知らないわ。でも、この子も何か受け取ってるはずよ」
俺は、リノをジッと見た。
のっぺりした顔に、短いスカートに、リボンのついたシャツを着ている。透けているがこの世界の服装ではない。確かに、空から落ちてきたことといい、『風の親分』の言った通りの異世界からの転生者だとしたら……
「『水の乙女』……本当なのか?」
<私の死に方があんまり惨めだったから、女神様が同情してくれたのよ。特典なんて知らないわ。こうして転生したのが特典でしょ!>
ま!! 俺にはどうでも良い事だったんだが。
リリエンティーヌの頭上の『火のチビ姫』は、既にリノに敵意むき出しだった。
リリエンティーヌから、小さな火柱上がって次の瞬間、びしょ濡れになったのは、彼女の方だった。
「リリ、チビ姫をけしかけたわね?」
「だって……ベル、『水の乙女』の方が上位に視えるんですもの」
父上に確認するまでもなく、リノは上位の精霊だと確定した。
水の精霊と契約して無敵になった俺、魔族に襲われておっさんになる! 月杜円香 @erisax
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。水の精霊と契約して無敵になった俺、魔族に襲われておっさんになる! の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます