2 - 全部の虎 Tiger Funding
失礼します!
今宵も、タイガーエブリシングの全々が、目を募らせる…………
祝「ではまず主キーをどうぞ!」
志願者「678257855です。」
祝「次に、あなたの望む形態は?」
志願者「もうとにかく多く本当にもう」
祝「貴方が思い描く任意の姿は!」
志願者「はい!大きさを利用した触媒で、同じ性を復権させたいです!」
大きさを利用した触媒で、同じ性を復権させる!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 口外に足る遺体をつかみ取れ!
Fetch the turbo!」
流「えーそれでは今回の678257855さんの開口する動機、何故こう、あなたは6つとか7つに分かれていないのか、それはね時間、空間の違いですか?」
志願者「いくらでも善行ができる、善行し放題丘を作りたいです!」
善行し放題!いくらでも善行ができる丘を作りたい!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 妨害に使う嬰児をつかみ取れ!
Dodge the carbo!」
志願者「えー、私はですね、27とかの時に法人として生まれまして。顔を義経、次は徳嵩とかだったと思うのですが、自我薄弱だったものでよく覚えていません。」
流「待ってください?私ねそんなことは聞いてない。貴方は稲川淳二?すごくお話が上手い。それでね結局6つとか7つになるんですか?分かたれるの?それを話してもらわなきゃ。それだけ話が上手い、上手いって、アナタここに自慢しに来たの?」
志願者「そう、ですね……可能かと思います」
流「うん、うんあのね笑、だから、言うだけだったら誰でもできるんだ。んー、これはちょっとお話にならないかもな笑」
ー世界のスティーブ・ジョブズ、シュリンク流(ながる)。バランスシートを借方100%にした経験を持つ敏腕若手コンサルタント。夜の歌舞伎町の帝王として、ポスト同一性時代のCEOたる彼は、果たして志願者のお眼鏡になりうるのか!?
全納「流さんあのね、前も言ったけどこうやってあんまり虎同士でどうこうってのはあんまりやりたくないんだけどね、ちょっと厳しすぎないですか?若い芽を育ててやろうって企画なんですから」
志願者「いえ、いいんです」
志願者は立ち上がった。上体が後ろに倒れ、腰あたりにぱっくりと横向きの割れ目が走る。やがて足と頭が同じ高さに揃うまで体はだらりと下がっていった。
全納「おお……」
これには虎たちも感服……
と、思いきや……
流「あのね、割れてないじゃない。割れ切ってないじゃない。」
早資「後でバラ撒いときますよ」
全納「もういいじゃないですか!」
虎の間に緊張走る……!
志願者「そもそも分かれきったらそのうちのどのパーツにプレゼンさせるんですか?(裏声)」
志願者の腰の割れ目が、口のように開閉を繰り返す……!
流「そんなもん一か所に纏めとくんですよ。ウチは何年もそうやってやらせてもらってます」
志願者「……商品の発表に移ってもよいでしょうか」
なんと志願者、虎の意向を無視……!
この選択、吉と出るか……凶と出るか……?
流「ほっほ……凄いねアンタ」
驚いて、目を見開く流……半笑いになりながら辺りを見回している……
流「逆に気に入ったよ。ねえ?よほど商品に自信があると見た。というかそうじゃなきゃ言ったところから分かれてもらうからね、ホントに笑」
勇気を評価され、何とか耐える……!しかし、その分ハードルが上がる商品……!この状態の流を満足させるのは、そう容易いことではない……!
全納「流さんあの”おびただしく”ってどう書きますっけ?(甲高い声、早口、大声)」
流「えっと果実の果に、多いの多?」
全納「ああありがとうございます」
志願者「それでは商品のほう準備します」
そう言って体を起こし、いったん離席した志願者、数分ほどして何やら液体の入ってきたバケツを持ってきた。
側面に赤い文字で ”レーサー 2” と書いてある。
大工「なんですかね、それ」
志願者「これは、レーサー 2 です」
大工「そうじゃなくて……笑 どういう意味?それ」
志願者「ああまあこれはプロトタイプなので、そんなに気にしなくていいです。すみません」
大工「いや質問の答えになってないでしょうそれは」
ー株式会社「時代と寝る」発起人。大工 大供!(だいく おおとも)設立時株式を一株も引き受けなかったことから死刑判決が確定、その後FCサービスで全国制覇!まさしく”シン・ニホン”の皮切り的存在たる彼は、執行が二か月後に迫る中、何を思うのか……!?
志願者「すみません。すみません。」
そう言ってしゃがみ込み、バケツの中のその液体をかき混ぜ始める志願者。いったいこれは何なのか……!?
早資「ああ僕もう100万出します」
~現在 100万~
ー【色はゼンブ、ボクノモノ】自称”G”(オールグリーン)早資 御金海賊団(はやし おかねかいぞくだん)。Wikipedia承認「塗りつぶし」の生みの親!あらゆるお絵描きツールにロイヤリティを請求する……!その他の経歴、そのすべてが一切謎……!
能増「ちょっと流石に……早すぎるんとちゃいます?、流石っすねえ」
志願者「すみません、すみません」
志願者が液体を掻きまわす速度が速まる……!
これはやはり何なのか……!虎たちの表情が若干曇り始める……
しかし、そんな虎の中、早資だけが志願者を真っすぐと見つめていた……!もうこのビジネスモデルについて何か感づいているというのか……!?
志願者「そろそろかな、と、そう思います。はい」
そう言ってバケツから手を引いて、立ち上がる志願者……
志願者「白くなりたいです!」
白くなりたい!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 情報を売るシード(種)に立ち向かえ!
Dutch the Reno!」
流「あのねお兄ちゃん笑、白くなりたいって言ったってね、領域ってものがあるんですよ、対象を取らないと分からないよ。分かる?」
志願者「そうですね……はい」
能増「ゴメン僕も、そこ言語化足りてないのはゴメンけど減点なっちゃうかなあ、ここ来る前にやっとくことでしょ?それ」
流「たぶん自分のことだろうけど、全身なの?一部なの?そもそもそこからだよね」
志願者「はい!一部が白くなりたいです!」
(一部が)白くなりたい!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 脳梁を切るギルドに立ち向かえ!
Tech the hand!」
志願者「口内が白くなりたいです!」
(一部(口内のこと)が)白くなりたい!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 構想を凝す肢体に立ち向かえ!
Retch the tango!」
流「あのねやっぱりね、何で君の体は一つなの?」
能増「口内……と来たかー……ん~……」
天を仰ぐ能増……果たして何を考えているのか……
ー【マーケティングを、ハックする】能増 大量(のうぞう たいりょう)。イノベーション革命を起こす20代。株式会社See-like-this取締役。極貧時代、ドバイで目潰し→極貧生活。絶望的な状況の中、マーケティングに目覚め文字通りゼロからのスタート。そこからなんと半年で全盲の老婆と結婚し頂点へ。こんな彼、なんと初回限定で無料相談も承っております!グローバルデジタル経済を牽引する彼の背中には、一体何が彫られているのか……!?
全納「あのね皆さん僕ね思うんだけど、口内って言って何か良くなったと思う?でもねやっぱり広すぎないかと思いますよ僕は!だって解釈によっては食道の向こう側、これも口内でしょ?ちょっと僕その口ぶりはどうかと思うんだ。彼の」
早資「僕もう100万出します」
~現在 200万~
恒例、流れ、展開、完全無視!とにかく投資するのがこの男……!
彼のその眼は、何を見据えているのか……!?
大工「塗り方とかもね。今ちょうどお金出してくれた……そこの……早資さんとかが詳しいことだと思うけど」
志願者「口内が一様に白くなりたいです!」
(一部(口内のこと)が)(一様に)白くなりたい!
678257855
祝「では、ALL or Everything! 想像に凪ぐ手合いに立ち向かえ!
notch the land!」
能増「でもそうなってくると相当コレ(右手で”お金”のポーズ)かかりますよね?、早資さん?」
早資「……」
何も答えない早資……!
全く読めないのがこの男……!
志願者「ああっすみません!」
ふと、バケツの方を一瞥した志願者は、何やら焦った様子でしゃがみ込み、またしてもバケツを掻き回し始める……
志願者「すいませんほとんど……ああ……」
必死の形相で回す手を早める志願者……
全納「皆さん黙って待ってらしたけどすいませんね、あの、それは何なんです?」
志願者「はい……皆さんには”同じさ”をこれで体験してもらおうかと思っています」
全納「同じさ?」
志願者「はい、あれ以来、皆さん久しく味わえていないであろう”同じ”という感覚です」
必死の形相でかき混ぜながら答える志願者……
謎は深まるばかり……
大工「よく分からないんですけどね、それをどう使って、何をするの?」
志願者「はい、僕が今混ぜているこれ、この渦に、手を突っ込んでいただきたく……そうすれば必ず”同じ”だと思っていただけるので」
大工「んー、全然意味が分からない、何が?」
志願者「すみませんこればっかりはちょっと……はい」
大工に歩み寄る志願者……その机の上にバケツを置く。
確かに、まだ水面は渦を巻いている……これがなんだというのか……
大工「え、何?(手)入れるの?別にいいけど……え?笑」
志願者「はい、お願いします」
流「いやそもそもね、同じさってのは二項関係でしょう。さっきから対象を抜かし過ぎなのよ、君の話は」
全納「そういうことなんですか?いやちょっとわかりかねるんですが……」
流「あんたね、今どきは詐欺師だってもうちょい上手くしゃべりますよ。もうね、というかね、やっぱあんたはなんで体が一つなの?いつまで?はいもうね、いい加減ね……」
ついに我慢の限界、椅子から立ち上がる流……
志願者、絶体絶命……!
志願者「お願いします。お願いします」
大工「いやすいませんね、ふふっ、いや別に、はい、入れますよ、はい」
すんでのところで大工がバケツに手を入れる。
するとすぐさま、見るからに変わった……!
大工「流さん、流さん!」
大工の表情……!
大工「あの流さん!マジで!」
流「分けるようん今分けますから絶対、大工さんも?」
大工「いやこれ、同じです」
能増……
能増「ブアッハッハ!!」
これにはたまらず吹き出す…………!
大工「いや、能増さんあの、わかっ、いやね?分かりますけど、ホントなんですって」
とにかく爆笑を続ける能増、暫く会話になりそうにもない……!
全納「いやそういう、ええ?僕も思いますよ正直!」
大工「いや同じなんですって、ほんとに。ちょっと皆さんも頼みますよ」
全納「ええ?……ええ?」
能増「ブッフォッフォ!!……」
スタジオ、しばらく騒然……!
祝「いや、皆さん僕もね、初め聞いたとき何を言ってるんだこの若造は、思いましたよ、でも実際、ねえ大工さん?ああ”同じ”だってなりましたもん、もうああなってしまったからにはここに呼ばざるを得ませんでした」
能増「いやちょっと待ってくださいよ……笑、いや、絶対回しもんでしょう、ええ?……ちょっと嘘でしょ大工さん?祝さん?てか祝さんもそっち側ってマジすか……笑」
大工「いやほんとに、能増さん、あのね?死に行く者の発言は真剣に聞いた方が良いですって、でも……僕自身ちょっと、驚いてますね、ええ」
かかる状況にしたり顔の志願者……!
しかし、やはりとでもいうべきか、簡単には納得しないのがこの男……!
流「だからね、そんなペテンに引っかからないんですよ。何?同じ?対象は?って言ってるじゃないですか。対象無しに同じさ?君はちょっと話が上手すぎるのかもしれないね、やっぱり」
そうして、さらに志願者に歩み寄る流……!
大工「ちょっとちょっと流さん、落ち着いて。気持ちはわかりますけどほんと一回で良いんで、これ、いやほんとに。一瞬で良いんで」
咄嗟に大工が流にバケツを差し出すと、流は鬼の形相でそれをつかみ手を突っ込もうとする……
その瞬間、志願者が動いた……!
志願者「あああの、それもう渦あんま無いんで、すいません回させてください」
そう言って歩み寄り、恐る恐る
流が持つバケツの中身を掻きまわす志願者……!
何やら、鬼の形相の流に耳元でブツブツ言われている……!
全納「流さんそんな……だから」
志願者「……はい、もう大丈夫です」
しっかりと渦を巻いたバケツ。すぐに手を入れる流……
スタジオに走る……!かなりの緊張……!
流、暫くの間かなりの無表情だったが、しばらくすると手を抜き、そして少し半笑いになった後、その場にしゃがみ込む……
能増「ええ……流さん……?」
その声に流は顔を抑える……何やら、ばつが悪そうだ……
大工「あの流さん?」
二人に言い寄られては仕方ないといった赴きで立ち上がり、若干うつむきながら虎側に顔を向ける……!
流「いや同じこれ」
能増「ええーーー!!!?」
安堵の表情を浮かべる志願者……!
大工「ね?言ったでしょう?これほんとなんですって」
能増「いやいやちょっと、え?」
全納「すいませんちょっと私も」
二人が一斉にバケツに駆け寄り、手を入れた瞬間のこと……
能増「うわ!ええ!?え!?うわ マジで同じじゃん」
全納「うん、うん……同じだわこれ……」
大工「いやちょっとね、画面の前の皆さんこれほんとなんですよ。うん」
全納「なんかあらゆる意味で同じじゃないですかこれ!?」
大工「そう、そうなんだよ、誰がやっても同じだしね」
能増「こーれは凄い志願者が来ちゃったなあ笑」
流、またもやその場にしゃがみ込む……!
==中編後編は全部の虎チャンネル、メンバーシップにて限定公開中!==
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