第3話 教育者の鏡


『皆の者、集まったか』


秘書のミユキさんに引き連れられると会議室に到着した。

会議室は渋面の講師陣とロードオブザリングのガンダルフのような白い髭と髪を伸ばしきった老人のホログラムが水晶から映し出されており、物々しい雰囲気に包まれている。

このガンダルフみたいなのはここ──ボンボン領の領主であるマウントのおじいちゃんのゴージャスだ。

マウント成敗後に出てくるボスで倒すと大量のお金が貰えることからバグで大量発生させて金策に使われていたのでよく覚えている。

領主が直接通信してくるということは余程ただならぬ事態なのだろう。


『魔人ネオオークとゴブリンの大群がこのボンボン領に向けて進行しておる』


「なんですって!?」「騎士団は何をしていたのです」「た、大変だ! ママぁ!」


予感はしていたが結構やばいな。

この世界の魔人は強大な魔法を使う今の人類に対抗するために大昔に巨大ロボットに自らを改造した人間の成れの果てなのだ。

改造の代償に寿命で死ねないために大昔から現在を生きるまでにそのほとんどが精神が擦り切れており、理性が崩壊している。

そんな暴走巨大ロボットがこちらに向かっているということはボンボン領がメチャクチャに破壊されることは想像に難くない。

本編が始まる前にもう学園が終了しそうなんだが。

まあ実際は無事に本編が始まるのでなんらかの形で未然に防がれるのだろうが。


『狼狽えるな! それでも教育者か貴様ら!』


「……」「申し訳ありません」「ヒ、ヒィ!」


どうするものかと思うと色めき立つ講師陣に一喝が飛び、講師たちの謝罪と共に静まりかえる。

昭和の先生みたいな爺さんだな。


『もうすでに騎士団には出動するように要請を出し、騎士団が来るまでの時間稼ぎの段取りも整えている。お主らは万が一に備えて学園から生徒を避難させるだけで良い』


時間稼ぎの段取り?

魔人は生半可のものではなく老人一人で何かしたところでなんとかなるものじゃない。

そんな便利な道具も魔法もこの世界には存在しないはずだ。


「時間稼ぎって言ってもどうするんです?」


『おお、マウントや。じいじによく聞いてくれたの。これを使うんじゃよ』


純粋な疑問からそう尋ねるとゴージャスは柔らかい口調になって見知らぬ村人服の子供を目の前に出してきた。


『この平民の子供に泣き声を上げさせて、平民の村に誘導して時間を稼ぐんじゃよ。ほほほ、魔人は子供の泣き声によく反応するからの。これも学園のため、引いては生徒のためじゃ』


「素晴らしい名案です!」「あなたこそ教育者の鏡です! ゴージャス様!」「さすが教育の名家ボンボン家の当主様だ!」


ゴージャスが良いこと言ったわみたいなドヤ顔をすると周りの講師陣たちが絶賛し始めた。

どこもよくないわ。金策に使うぞジジイ。

俺は平民関係のイメージアップしなければならないのにその真逆を行ってるんだわ。

学園の盾にして平民の村を壊滅させましたなんてほぼ虐殺と変わらない。

早くこいつなんとかしないと。









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