第36話 宿敵
百三十一:二丁拳銃の亡霊(デュアル・リーパー)登場 🔥🔫🔥
隠れ家全体が、暴走したノーズ・ブレイカーの咆哮で震えた。蛍光灯が砕け散り、壁には血と変異エネルギーの火花が飛び散っていた。
その瞬間——
「ようやく“本番”ってわけかよ、本郷 猛」
乾いた銃声とともに、扉が吹き飛んだ。
煙の向こうから姿を現したのは、黒いコートを翻し、左右の腰に二丁拳銃をぶら下げた男だった。
二丁拳銃の
結社が送り込んだ、変異体処理専門の殺し屋。
その両腕には、変異層を貫通する特製の“アンチ変異弾”が装填されている。
本郷は眉をひそめた。
「……来たか、処刑人が」
男はにやりと笑い、拳銃をくるりと回した。
「俺の仕事は単純だ。暴走した“商品”の回収と、邪魔者の排除さ」
彼の視線が、暴走し続けるノーズ・ブレイカーへと向けられた。
「まずはお前からだ、ノーズ・ブレイカー。暴走個体は“処分”がルールだろ?」
その瞬間、拳銃が閃いた。
アンチ変異弾が、空気を裂きながら弾道の残光を残す。
---
百三十二:研究者の覚悟と“命を撃ち抜く弾丸” ⚡
本郷は咄嗟に、手にした血液成分調整ナノマシン注入器を盾のように構えて飛び込んだ。
パンッ!
ナノマシン注入器に弾丸が弾かれ、火花を散らす。
デュアル・リーパーは驚きもせず、淡々と次弾を装填する。
「そんなオモチャで、俺の弾が止まるかよ」
本郷は、彼の前に立ちふさがった。
「桑田君は……変異体じゃない。救える“患者”だ」
「いいや、“失敗作”だよ」
デュアル・リーパーは冷たく言い放つ。
「病気の力を燃やして変身する? そんな不安定な兵器、誰が使う。結社はもう見切りをつけた。だから俺が来た。“処分”しに」
本郷の拳が震えた。
怒りでも恐怖でもない。
患者を守る医師としての怒りだった。
「……誰が、君たちなんかに任せるか」
デュアル・リーパーの口角が上がる。
「いいねぇ、その目。アンタ、本気で“医者”をやるつもりだな」
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百三十三:暴走変異、臨界点へ 💢🩸
ノーズ・ブレイカーは苦悶の呻きを上げながら、血の霧を撒き散らしていた。胸元の変異核が、不規則に脈動し——バチィッ!!
高エネルギーの変異放電が地を這い、床を溶かし始めた。
本郷は歯を噛みしめる。
「……もう、時間がない」
彼は決断した。
デュアル・リーパーを突破し、桑田の体にナノマシンを注入する。
それしか、彼を救う道はない。
だが、デュアル・リーパーは二丁の銃を構え、
医師の“救命行動”を完全に遮断する位置に立っていた。
「医者が命を懸けるのは勝手だがな……
俺は“仕事”を優先する」
銃口が、まっすぐ本郷の眉間に向けられる——。
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百三十四:戦闘医師、本郷 猛の反撃開始‼ 🥼⚔
本郷は、一瞬だけ深呼吸した。
目の前の殺し屋は、科学的に見ても隙が少ない。
だが、人間である以上、必ず“間”がある。
変異暴走の轟音が響く中、本郷は叫んだ。
「——デュアル・リーパー!!俺は、“命を救う側”だ!」
床を踏み込み、医療用強化グローブを装着した右拳を振り上げる。
それは武器ではない。
患者を救うために、敵を倒す“医師の拳”だった。
デュアル・リーパーの指が、引き金にかかる。
そして——
研究室を揺るがす激突が、ついに幕を開けた。
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