伝説のおさらい
「まずですね旅人が早朝にハク湖を訪れます。その旅人は男です。年齢は分かっていませんが性別は分かっています」
年齢は分かっていないが性別は分かっている。唯野も同じことを言っていた。
「その男は旅の疲れもあったのでしょう。風邪を引いていました。男はハク湖にいるときに水面にくしゃみをしてしまいます。
するとハク湖から伝説の生き物が現れて男に対しこう言います。私が住むハク湖に対し菌を撒き散らすなと。男は謝りますがその生き物は怒って男を食べてしまいます。
それを偶然ハク湖を訪れていた別の人が見ておりその男は伝え残します。これがハク湖伝説のおさらいです」
白田が言ったことは俺が知っている伝説通りだった。間違ってはいない。
「ここでですね、当時の背景を踏まえますと、飲み込まれてしまった旅人と発見した旅人は近くの宿場町で泊まっていたのだろうと考えます。そしてどちらの男も武士などの高貴な方ではなく一般人であっただろうと考えます」
「それはなぜか。なぜそう考える」
俺は白田に質問した。
「まぁこれは想像のことなので正しいとも正しくないとも言えないのですが、飲み込まれた方が高貴な人であればもう少し情報が書かれていたとしてもおかしくないのかと。
どこどこの何という人とか、服装であったりとか。髪型に関しては当時武士であっても庶民であってもちょんまげなので改めて男はちょんまげであったとは書かなかったでしょうけど」
なるほどな。確かにそれも考えられる。高貴な人であれば歴史として現在まで残っていてもおかしくない。身分が描かれていないということは飲み込まれた男は庶民であった可能性が高い。
「また現場を目撃した人物は森の樹々にの隙間からその様子を見ていたと思います。その男はハク湖にくしゃみをしなかったので食べられなかったのでしょう」
それはそうなのだろう。伝説の生き物は男に対して興味がなかった。まぁ興味がなかったというよりくしゃみをした男に興味が湧いていて他の人は見えていなかったのかもしれない。
「2人の男が高貴な方ではないことを考えられると、2人は徒歩で訪れたのでしょう。馬は高貴な方しか乗れませんでしたから。
さて今分かっていると言いますか考えられることをまとめると庶民の旅人がハク湖を訪れてハク湖の伝説の生き物に食べられたというこのになります。
当時庶民が旅をする目的は様々でしたがその一つに治療があります。飲み込まれてしまった男はもしかしたら風邪を治すために宿場町を訪れたのかもしれません。
沼津様は行かなかったかもしれませんがハク湖周辺に温泉がありますから。伝説を発見した男については分かりませんが、土産でも買いに来たかんでしょうかね。それともただの旅か。それは分かりませんがね」
治癒目的で旅をしていたとするならば治る前に伝説の生き物に食べられてしまったということか。治しに来たのにもっと悪いことに遭遇してしまうとは。なんとも可哀想なことだ。
「それとですね伝説の生き物は龍です」
白田はさらっと重要であることを暴露した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます