B県立図書館
次の日、俺は電車に乗り予定通り県立図書館に向かった。
昨日分かったハク湖についておさらいするとハク湖の周りは昔森であったこと、その森の周りには宿場があり、旅人がそこに年中泊まっていたこと、ハク湖は現在と変わらないことである。
また宿場があった場所は現在俺が滞在していて唯野が勤めているホテルになっていることである。
県立図書館に着くと俺はまっすぐカウンターに向かった。
「すまんが俺はハク湖について、特にハク湖の伝説の生き物について調べている。その史料について何かあるのなら見せてほしい」
俺はカウンターにいる司書に声をかけた。
「はい、ハク湖の伝説の生き物についてですね。そうですね。史料をご覧になるのもいいかと思いますが、当館にそれについて少し知っている人がいるんです。どうしますか?ー」
どうしますかと言うことはその人に話を聞きますかと言うことだろう。
「その人は本当に詳しいのか、ハク湖の伝説の生き物について。詳しいのならぜひ話を聞きたいが」
俺が知っている情報と同じ知識の人を紹介されても時間の無駄に思えてしまう。それはただの確認作業の時間だ。
「そうですね。少なくともお客様よりは詳しいと思いますよ」
この司書はどうやら俺がハク湖についてほとんど知らない奴と思っているらしい。そう捉えられる言い方だ。
「ならその人を紹介してくれ。今日会えるのなら今日会いたい。もしも会えないのなら日を改めてまた来る」
「はい、かしこまりました。彼でしたら本日に会うことができると思いますよ。ただ少々お時間をいただくかもしれませんがその点はご了承ください」
「あー構わない。その辺を史料を眺めながら時間を潰してる。ありがとう」
俺は司書に礼を言いその場を離れようとした。
「あーちょっと待ってください」
司書が俺を呼び止めた。
「一応こちらの番号札を持っていてください。彼が到着次第番号でお呼びしますので」
俺は司書にそう言われ番号を受け取った。番号は1番だった。まぁ当然といえば当然か。俺以外に待っている人はいないだろうからな。
それと番号札で呼ぶのは個人情報の関係かもしれない。俺が泊まっていたホテルも名札の部分にスタッフと書かれていた。どうやらあのホテルはチェックインする時だけ名前を言うらしい。唯野もその時に名を聞いたが彼の名札にもスタッフと書かれていた。
俺は入り口付近に置いてあった県の歴史について書かれた史料を眺めて時間を潰した。
しばらくして番号札1番のお客様、カウンターにお越しくださいと言う声が聞こえた。俺はカウンターに向かった。
「はい、番号札だ」
俺はカウンターにいる先ほどの司書に番号札を返した。司書の隣には1人の男性がいた。
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