──死んだと思っていた君が、生きていた
俺は死んだ。
少なくとも、死後硬直が始まり、
体温は26度まで落ち、
医師は「もう手遅れです」と宣告した。救助隊が俺だけをヘリに乗せたとき、
みよりんは俺の腕の中で、
完全に冷たくなっていた。でも、
たまたま熊の駆除に来ていた猟師が近くを通りかかり、
「まだ体温が残ってる!」と叫んで、
30分以上、心臓マッサージを続けてくれた。
除細動を何度も繰り返し、
奇跡的に心拍が戻った。意識が戻ったのは3ヶ月後。
俺は生きていた。
でも、みよりんは死んだと聞かされた。それから3年。
俺は教官を続けながら、
毎日、空に向かって謝っていた。ある日、
航空会社の新人研修講師として呼ばれた。会議室で名簿を見た瞬間、
世界が止まった。箱宮みより。生きていた。左足を少し引きずりながら入ってきたみよりんを見て、
俺は立ち上がった。「……みよりん……?」みよりんは涙をこぼしながら、
「……天狼さん……生きてた……」打ち合わせが終わって、
二人きりになった会議室。みよりんが、
震える声で言った。「……私、天狼さんのこと、ずっと好きでした……
死んだって聞いてから、毎日泣いてました……」俺は、
もう我慢できなかった。「……俺もだ……ずっと、お前だけだった……」みよりんが、
「……付き合ってください……」
って、泣きながら言った。俺は、
「……ああ……もちろんだ」って、
彼女を強く抱きしめた。
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