亡国の王子とお側仕えの女性のやりとりが微笑ましくて切ない。二人の流浪の日々で繰り広げられるちょっとした瞬間や危機までが愛おしく感じる。だからこそ中盤からの展開に、人間の脳プログラムはこういう方向にしか向かないのかと虚しくなる。どんな状況に世界が変貌しても彼女の果たし続けるプログラムと一途な思いはずっと変わらない。あたかもアンドロイドが夢を見るような最後には思わず涙腺が緩む。その夢は叶うのだろうか。
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幼い王子を守り育てる任務を与えられたアンドロイド・ノエミ。彼女は確かにその任務を果たした。王子は成長し、やがて──。彼女が「彼女」と呼ぶにふさわしい存在であるのだから、「彼女」がこれほどまでに純粋な願いを抱くのだから、ふたりの想いが実を結ぶことくらい、わけもないでしょう。ああ、ぜひ、この美しい結末をご覧いただきたいです。もちろん、それまでのふたりの美しく切ない心も。──読んでみてくださいな。
結末まで読んで、しばらく感想にまとめるまで時間がかかりました。これは、良い。人とアンドロイドが想い合う、そして、人は時と共に変われどアンドロイドは変わらない。その非対称性が胸に迫る傑作です。