幕間 制裁のコメント欄
「ああ、そうだ。リスナー達、今の内にボリュームを下げていた方が良い。イヤホンだったら、耳痛めるからな」
“そろそろですかな”
“ステンバーイ”
“いってぇ!!!!”
“なんかがドローンに当たったと思ったら、耳死んだんだが”
“お耳がキンキンするの”
“案の定、ドローンを潰しに来たなアイツら”
“まあ、潰せてないんですけどねwwww”
“僕らの鼓膜は潰してますけどね”
“高いヘッドホンにしたのが仇になったぜ……”
“おのれ許すまじ。野良ワンコ共め”
「――ははは! お望み通り来てやったぞ、『フェアリー』!」
“なんという小物感”
“お望み通りに来たのはお前らなのよなー”
“はーい、制裁タイムの始まりでーす”
◇
「どうだい! 俺のスキル《アサシンヴェール》は! 見えない敵の恐怖を存分に味合わせてあげるよ!」
“こっちはトウマのドローンだね”
“渚くんがあらぶっております”
“楽しそうだね”
“ウッキウキの渚きゅん”
「さっきから全然的外れだよ! 見えないんだから当たり前だけどね!」
“透明化のスキルは強い……筈なんだが”
“割としっかり消えるのな”
“けど、俯瞰で見るとまあまあ動き追えるね。おっさんの言うように砂煙とか揺らぎがある”
“当たらないんじゃなくて、当てないのよ”
“生配信中なのでショットガンでミンチには出来ないのだ”
“↑別に向こうが殺しに来てるから良い気もするけど”
“チャンネルBANされちゃう(´・ω・`)”
「どこから切り刻んであげようか? 右腕? 左腕? ねぇ、どっちからが良い!?」
「――うっざっ」
“レイナがガチで引いてる”
“超うぜぇー(;^ω^)”
“サイコパス渚”
“きっしょいなぁ”
「ああ、もう……!」
「ははは! 焦っちゃったかなぁ!!」
“簡単に誘いに乗っちゃう坊やだぜ”
“最初から勝った気で居るから……”
「二人には悪いけど、先に楽しんべぇあぁっ!?」
“これは痛い……”
“聞いた事ねぇ悲鳴だなw”
“クリティカルヒット”
“素敵なおみ足♡”
“美脚キック”
「ぅぐぇ、おも――!」
「おっと、口の利き方には気をつけなさい? 鉛玉をその空っぽな頭にぶち込んであげましょうか?」
「な、なんでぇ……俺の姿は見えない筈なのにぃ……。近づけば楽勝じゃなかったのかよ……!」
“情けねぇなぁ……”
“弱いwww”
“よっわっ!”
“雑魚い”
“レイナが強いのか、こいつらが弱いのか”
「私達を舐め過ぎなのよ。全ての訓練の様子を動画化してるとでも思った? “私の距離”の内側での戦い方も裏でちゃんとやってんのよ」
“おっさんと美少女達の秘密な特訓(ガチ)”
“舐め腐ってる連中に『フェアリー』が負ける訳ないんよな”
“ところでサヤ氏はどうなったんだろ?”
“ドローンが二つしかないからな。仕方なし”
“びっくりした! 今、雷落ちたぞ!”
「ごめんなさい。思ったよりも加減出来なかったみたいだわ」
“あ、もう終わってしまっている……”
“大丈夫? 生きてる?”
“大丈夫。伸びてるだけだ”
“乙―”
“おつかれー”
“次はおっさんだな”
◇
「ぁ? ――は? なんだよ、どういう事だ……?」
「本当は、俺も色々作戦とか考えようとしたんだ。玲奈と沙耶で二対一にするとか、俺がお前達を一人で引き付けて、援護して貰うとか。それこそトラップをしかけても良かったんだけどな……」
「『ワイルドウルフ』の動画を見て研究しようとする程、そんな事、必要無いと確信出来たんだよ。寧ろ、下手に計画を立てるより普通に分断して普通に殴った方が早いってな」
“策を弄する必要が無い程の実力差”
“確かに簡単だったな”
“実質、ワンパンで終わらせたよね”
“ところで、リーダー君はこのドローンにお気づきでは無い?”
“ないっぽいな”
……――。
「うるせぇおっさんだな……! 説教なんざ、してんじゃねぇよ! テメェを殺せば良いだけだろうが!!」
「だったら来い。厳しめに指導してやる」
“やっちゃえおっさん!”
「死ねよ、おっさん!!」
「まず、身体強化が雑だ。行動の度に一々分かり易い間があると、どれだけ速かろうと簡単に見切られるぞ」
「くそがっ!」
「次に、スキルの特性を理解していないな。お前のソレは確かに攻撃特化だが、その本質は“魔力を衝撃波にして叩き込む”んじゃなく“魔力を打撃と共に通す”んじゃないか?」
「ああ!? どういう意味だよ!!」
「本来の威力が分散して逃げてるだけなんだよ。打撃の衝突が少しでもズレると折角の破壊力が衝撃波として広範囲に広がって減衰する。多分だが、寸勁に近い要領の方がそのスキルには合ってる筈だ」
“何気にちゃんと指導してるの草”
“衝撃波メインのスキルじゃなかったのか”
“そもそもこのスキルって強いのか?”
“単純なスキルだから傾向としては火力が高いタイプの筈。けど、トウマの言う通り、使いこなせてないから微妙な感じになってるんだと思う”
“本人よりもスキルの使い方が分かるのは、やっぱ経験の差かな?”
“元指導員は伊達じゃない”
“多分トウマが持ってたら超火力のロマンスキルになっただろうに。勿体ない”
「すんけい? 出鱈目言ってんな!」
“所謂ワンインチパンチだよ”
“カンフー映画で木板割るヤツ”
“分からんようで分かる説明サンクス”
「っ!」
「――ぁ、ゕ゛っ……!?」
「て、てめぇ……なに、しやがっ、た……!?」
「ただの八極拳の真似ごとだよ。《強化》が無くても、この位に威力はある。極めればもっと攻撃力は出るし、お前のスキルを合わせればそれこそ最強の一撃になるかもしれない」
「それには相当の鍛錬が要るがな。お前じゃ、そのスキルは使いこなせないだろうよ」
“中国武術の心得もあるトウマさんはなんなのでしょう?”
“分かってたよ。分かってたけど、おっさんは強い”
“あんだけイキってたのにワンパンで心折れちゃった”
“ちょっと可哀そうに思えてきた……”
「どうした、立て。まだまだ指摘する所があるんだが?」
“いつになく厳しい”
“おっさんキレてる?”
“そりゃキレるだろ”
“こいつ等の逆恨みで、散々だからな”
「ま、待てよ……! ちょっとした悪ふざけだろ? そんなにムキになるなよ、大人げねぇな?」
「そうだ、一緒にあの女共をヤッちまうか? おっさんも、若い女とパーティ組んで、ホントは我慢してたんだろ? ドローンは壊したんだ、ダンジョンでヤリ捨てりゃ誰にもバレねぇさ。勿論、おっさんが先で良いからよ!」
“哀れ過ぎる”
“クズい”
”ちょっと可哀そうに思えてきてたけどそんな事無かった(-_-;)”
“コイツ一番むかつくタイプのガキだわ”
“火に油を注ぐんじゃねぇよ”
“おっさん、殺しちゃダメだからね”
「――は?」
“お、やっと気づいた”
“こんにちわ(^-^)”
“もう、ボコボコですやんw”
“ねぇ、今どんな気持ち?”
「なん、なんで……壊した筈だろ! 中級魔法の魔道具だったんだぞ!?」
「忘れたか? 俺のスキルは《強化》だ。ドローンの耐久性を事前に強化していただけだよ。ついでに言うと、俺個人のドローンも前もって飛ばしている。ソッチは、二人の方を映してるがな」
“PCでコッチ見てスマホで向こう見てる”
“俺もそうしてる”
”今向こうは、レイナのファンサで盛り上がってるぜ”
「理解したか? 俺達に負けた上に、自分達の醜態を世間に晒している事を」
「好き勝手するなら、その報いはいつか必ず受けるもんだ」
“おっさんは言わなそうだから代わりに言うね。ざまぁwwwww”
“ざまぁ!!!!”
“☆因果☆応報☆”
“後悔してももう遅い”
「お、おいおい……。分かった、分かった! 降参だ、降参するから許してくれ!」
「悪いな。俺もそれなりに、腹に据えかねているんだ。それに――」
“あ、ちょっとヤバいかも!?”
“ダメだおっさん早まるな”
“流石に斬るのは止めといた方が良いよ”
“やるなら配信止めてからにしよう”
「お前も俺を殺そうとしていただろ?」
「あ、あああああああ!!!!」
“あああああ!”
“チャンネルがBANさせるぅ!!”
“やっちゃったか……!”
“死んだー!!”
「――――――」
“ヤッちまったと思ったらヤッて無かった(*´ω`*)”
“少しは白熱するかと思ったらそんなこと無かった”
“ここのリスナー『〇〇と思ったら〇〇じゃなかった』を定型化しようとしてる?”
「確かに、俺は大人げないな」
“ともあれ圧勝”
“『ワイルドウルフ』はもう終わりだな”
“まだ甘いんじゃね?”
“乙!”
“流石はおっさんだ”
“ちょい待ち。サイトの日間ランキングで一位になってんぞw”
“バズったなー”
“ある意味『ワイルドウルフ』に感謝だな”
“身を挺して『フェアリー』をバズらせてくれたのか”
”↑そうじゃないけど、実質そう”
“『フェアリー』の今後が楽しみだぜ”
―――――
2026/1/13 記
既に二章を開始していますが、幕間という形で追加しました。
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