第40話 教育部長の”名案/愚考”
教育部長室の大きなディスクは書類の山に占領されていた。
教育部長である
代表取締役社長
一応、名門といわれる大学を出てはいるが所詮は縁故採用。
社内でも腫れ物の様に扱われ二十歳半ばで形だけの管理職になっていた。
自身に人の上に立つ器は無いのは理解している。
それでも、自分なりに仕事には真面目に取り組んでいた。
……つもりだった。
「――確かに指導員へのクレームは減りましたが……」
最近、新人冒険者を指導する教育一課で問題が起きている。
乙斗真。指導内容が地味、古臭い、動画映えしないという理由で担当する新人やギルドからクレームが多発している事を理由に解雇された一課の指導員だ。
彼が去り業務は効率化されクレームが減り問題は解決すると思っていた。
だが実際は、若手の指導員の仕事効率が下がっているらしい。加えて、新人冒険者の死傷者の割合が増加傾向にある事をギルドも問題視し始めている。
ファイルから引っ張り出した斗真の始末書を改めて読み返して、真里菜は眉を顰める。
新人からのクレームや担当の交代が多発している事への謝罪文だがその実は指導方針改善への進言だった。
基礎を軽視した際に予想される研修中に発生する事故の可能性。
現状の教育方針を続けた場合の将来的な冒険者の質の低下の危惧。
基本的なダンジョン探索や魔力操作、戦闘技術のカリキュラムの整備と実施。
そのどれもが新人達の生存率を少しでも上げる為のものだった。
今、見返せば的を得ていると理解出来る。
だが当時は“その必要は無し”と処理していた。
「我ながら愚かな事をしましたね」
自嘲が漏れる。
それと同時に社長から指示が脳裏に過った。
早急な状況の打開。
ギルドからの信用を回復するのだ。
その為にどうするべきか?
答えは明白だった。
乙斗真が正しかった。
彼に戻って来てもらい教育課の改革をするべきなのだ。
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