第2話 屋上で
蒼太と奈津は、一緒に屋上へ向かった。蒼太は奈津に、「なんで屋上に行くの?」と聞いた。「話したいことがあるんだよね」と奈津は返事をする。屋上のドアを
開けると、奈津は蒼太に、「蒼太って、好きな人いるの?」と真剣な顔で聞く。
蒼太は、えっ?という顔をして、「いないよ。」と言った。奈津は、
安心したのかちょっと嫌だったのかわからないが、表情がいつも通りに
なった気がした。奈津は、「これが聞きたかっただけ!!」と言って、屋上のドアを
「バンッ!!!」という音を立てながら開け、階段をスタスタと降りていった。
屋上に残された蒼太は、意味がわからず呆然としている。すると、さっきスタスタと
階段を降りていった奈津が、屋上に戻ってきた。奈津は、「なんでまだ屋上にいるの?」と聞いた。蒼太は、奈津が屋上に来たのを目にすると、やっと正気に戻り、
「奈津がすぐ降りていったから、びっくりしてただけだよ」と言う。
「ふ~ん。じゃあ一緒に教室戻ろうよ」と少し緊張気味に奈津が言うと、
「うん。」と言って蒼太は返事をした。二人はすぐに階段まで行き、
一緒に階段を降りた。教室に入ると同時にチャイムが鳴った。
蒼太と一緒に教室に入ってきた奈津を、美樹が睨む。その美樹を、奈津が
自慢げに笑う。お昼休みになるチャイムがなると、ご飯を食べるために、美樹は蓮と
一緒に売店に向かった。美樹は蓮に、「蓮〜奈津がさ、蒼太と一緒にどっかに
行ってたんだけど!!!!」と不満げに言う。蓮は、「奈津だって、蒼太のこと好きなんだから、そういうことくらいするでしょ」と冷たく返す。
「本当、蓮は冷たいよね」と嫌そうに美樹は言う。そこへ桃香先輩が、「なんの
話してんの〜?」と話に入ってくる。「蒼太の話ですよ。」と蓮は言った。
「なんで言っちゃうの?!」と美樹は怒りながら言ってくる。「本当のことだもん」
と蓮は呆れたように言う。桃香先輩は、「聞いちゃいけないことだった???」と
少し心配そうに聞く。やはり、蒼太の姉だからか?美樹が蒼太のことを
好きっていうのがバレてしまっては困る。だから、「すいません!!ダメです!!
私のメンタル崩壊させたくないので!!!!」と美樹は焦ったように返事をした。
桃香先輩は、「わかった!ごめん!!」と言って、その場を去っていった。
蓮と美樹は、売店でパンを買って、教室に戻った。みんなが、お弁当やパンなどを
食べている中で、蒼太と奈津が一緒にご飯を食べているのを見てしまった。
美樹は、蒼太と一緒にご飯を食べるのを楽しみに、学校に来たのに、
奈津にその楽しみを奪われてしまった。どんな思いで奈津とか関わればいいのかが
わからなくなってしまった。
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