第2話 衝動

成り行きで家を出たことを最初は何も


後悔しないはずだった。時間の経過につれて


お腹が減ってきてバッグの中の缶詰や食パンを


すこーしずつ取り出して食べる。



寂しく感じた。食料が減ってきて心細くなる。


僕はこのまま餓死するんだろうか。



それでも 良いか。誰も見向きもしないし、


必要としないのだから。自分には何もない。


帰る場所もないし、守るべき人もいない。



世の独身男性は、ただ働いて貯蓄をしている。


生きるために働くのは分かる。



ただそこに何の楽しみもないと感じてしまう。虚無だ。



「はぁ…これで良かったんだよな?」


毒親の元を離れて、少し背中に羽が生えた気分になれた。



この先にあるのは、きっと少しの自由と期待、興味を引くものに出会うチャンスがあるんだと胸をときめかせていた。



食料も自己肯定感も1週間余りで底をついた。


食料は購入すれば補充が出来る 。


自己肯定感は他者から褒めてもらうか、自分で増やさないといけない。自己肯定感はいつしか自己否定感に シフトチェンジしていた。


何をしても、 「自分なんて」


「できるわけない」「どうせ」といった否定の三大名詞が出てくる。



「ただ愛されたいだけなんだ…」


人もいない夜道を一歩ずつ前へ歩いた。

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