第47話 UIバグ
核の査定が落ち着いたころ、鑑定士がアキトに尋ねた。
「アキト君……君のステータスを確認したいのだが、
カードを見せてもらえるか?」
アキトは少し困惑した顔をした。
「その……僕、カードじゃなくて……
頭の中にUIが出るタイプなんです」
職員全員が一瞬固まった。
「UI? 脳内表示?」
「……珍しいタイプだな」
アキトは説明する。
「《ステータス表示》って念じると、
視界に小さなウィンドウが出るんです。
でも──」
手を額に当て、UIを呼び出す。
ぱっ。
視界に半透明のウィンドウが浮かぶ。
────────────────
【ステータス(簡易表示)】
レベル:7
HP:42
MP:39
STR:──
AGI:──
INT:──
属性:エラー
詳細:表示できません
────────────────
セリアが目を丸くする。
「な、なにこれ……!?
数値がほとんど“空欄”……!」
職員がざわつく。
「STRもINTも出てない……」
「属性欄、エラー表示!?」
「こんなの見たことないぞ!」
鑑定士はUIを観察しながら、低い声で言った。
「……君の脳内UIは、
“本来表示されるべきデータ”が欠落している」
「欠落……?」
「HP、MP、レベル『だけ』正常に同期している。
だがそれ以外は、魔力情報が乱れている」
アキトは苦い顔をした。
「最初からずっとこうで……
僕、正しいステータスを知らずに戦ってました」
職員が声をあげる。
「レベル7なのに詳細ステータス見てないとか……
どうやってここまで戦ってきたんだ……!?」
鑑定士は静かに言った。
「……これは、その脳内UIが“仮登録状態”だからだ。
ギルドで正式に登録し直せば、
正しい数値が見えるようになるはずだ」
アキトは息を呑んだ。
(……俺、ずっと不完全なまま戦ってたんだ……)
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