第40話 霧の壁


さらに進むと、

スライムが二匹並んでいるのが見えた。


(正面から行くと囲まれる……

霧で“壁”を作れないか?)


アキトは距離を取り、

手のひらを向ける。


「水……散れ……揺らぎ……

《ウォーターボルト》!」


ぱあっ。


広がる白い霧が、

スライムの目の前に“薄い壁”を作る。


二匹のスライムは、

霧の冷気に怖がったのか左右にぱっと散った。


(やっぱ霧って便利だ……!)


アキトは片方に詰め寄り、

勢いよく棒を振る。


べちっ。


核が落ちる。


もう片方は霧で一定距離を保ったまま。


アキトは詠唱を重ねる。


「水……落ちろ……

《ウォーターボルト》!」


今度は霧ではない。

“重さのある粒”がポツンと飛ぶ。


スライムの表面に命中。

ぐにゅ、と膨らむ。


「……やっぱり弾になりかけてる!」


巨大化したスライムに駆け寄り、

木の棒で横から一撃。


べちっ。


二匹目の核も落ちた。


袋に入れると、

どんどん重くなっていく。


(……まだいける。今日は特に集中できてる)

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