第39話 再挑戦


ギルドを出たアキトは、

財布の中身──68G──を見つめた。


(宿代50Gは払える……けど、

装備も整えたいし、水魔術の練習もしたい)


昨日、一滴が形になった。

今日は霧でスライムを追い払えた。


そして巨大スライム核は、

普通の核よりもはるかに高く売れた。


(だったら……

“効率よく稼ぐならスライム狩り”しかない)


アキトは草原へ向かう。


風が心地よく吹く中、

草むらの影でぷるり、と青い物体が跳ねた。


スライムだ。


「よし……練習、頼むぞ」


アキトは木の棒を構えず、手のひらを上げる。


**今日の目標は、”狙って水を当てる”こと。**


「水……流れ……落ち、集え……

《ウォーターボルト》!」


ぱしゅっ。


“霧と粒の中間”が飛ぶ。


スライムに命中すると──

ぐにゅう、と膨らみはじめた。


(よし、昨日より狙い通ってる!)


巨大化したスライムが跳ねてくる。


アキトは横へ避け、

タイミングを合わせて棒を振り抜く。


べちっ。


核が浮き上がり、地面に落ちた。


手に取ると、

昨日の“水で育った核”と同じ重さ。


(……これなら今日、一気に稼げる)


アキトはにやりと笑い、

草原の奥へ進んでいった。

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