第38話 高額査定と自覚


鑑定士が核を受付嬢に返す。


「この核なら……最低でも18G。

状態がいいので……20Gで買取ってよいだろう」


受付嬢がアキトを見る。


「アキトさん……すごいですよ。

普通のスライム核は4Gですからね……?」


「4の……5倍……?」


思わず声が漏れた。


鑑定士が頷く。


「水魔術の影響で“核が育った”のだ。

危険だが……うまく使えば大きな武器になる」


アキトの心臓がドクンと跳ねた。


(俺の……魔術で……

スライムが……ここまで変わるのか)


受付嬢が笑顔で告げる。


「では、買取金20G。

こちらが合計です!」


差し出された袋はずっしりと重い。


(……宿にも泊まれるし、

武器も……ようやく買える)


水魔術の一滴が、

こうしてお金に変わった瞬間だった。


そしてアキトは静かに確信した。


(……俺の水魔術、

ちゃんと“力”になってるんだ)


それはまだ微々たるものだ。


けれど確かに──

冒険者としての最初の“成功”だった。

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