第28話 討伐報告と増えた銀貨


街へ戻ると、ちょうど夕方の明かりがギルドの窓を照らしていた。


「危ねぇぇぇ、間に合った」


アキトは息を整え、

討伐したホロウサギの素材をポーチから出す。


・ホロウサギ毛 ×1束


受付に向かうと、セリアが顔を上げた。


「アキトさん、おかえりなさい。

ウサギ討伐、どうでした?」


「なんとか……倒せました。

素材も拾ってきました」


セリアは毛を手に取り、丁寧に確認する。


「傷も少ない……綺麗な毛ですね。

では査定しますね」


すぐに計算が終わる。


「依頼報酬が **24G**

素材買取が **3G**

──合計 **27G** です」


「ありがとうございます!」


アキトは受け取った銀貨の袋を握りしめた。


(小川の採集で55G入って……

ウサギで27G……

全部合わせて、今は **116G** か……!)


ポーチがこんなに重いのは久しぶりだ。


セリアが続けて声をかける。


「本当に頑張っていますね、アキトさん。

最近、顔つきが変わってきました」


「えへへ……少しずつですけど、慣れてきてます」


その言葉を聞いて、セリアはどこか安心したように微笑んだ。


「今日はもう依頼は終わりですか?」


「はい。……このあと、少し魔術の練習をするつもりです」


「あまり無理はしないでくださいね」


アキトは軽く会釈をしてギルドをあとにした。


──外は風が気持ちよく、

胸の中の達成感と一緒に、

さっきの“冷たい感覚”がまた思い出される。


(火の魔術の途中で感じた……冷たい気配……

あれ、なんだったんだろう)


ずっと気になっている。


明日こそ相談しよう──

そう決めて、アキトは宿へ向かった。

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