②
目一杯頑張って管理職になってはみたが……所詮は“男尊女卑が根強い”会社で……その先は無さそうだ。
そこそこの収入とまだ先長い人生設計を秤にかけて悩んだ挙句……私は初めて“お見合い叔母さん”の軍門へ下った。
持って来られた釣書の写真が……私の好みの顔立ちだった事も大きいが……
初めて会った時のカレの印象は“線の細い人”だったが……私は仕事以外に“男”と関わる事がまず無いのでそのせいだろうと思った。
取りあえずのお付き合いで次に会ったのはカレの地元で……途中でカレのお母様が乱入して来て、どこへ連れて行かれると思ったら総合スーパーのテナントに入っているチェーンの宝飾店だった。
このお母様、恐らく関西の人で……『ええやん、ええやん』のノリで“いわゆるお買い得品”の指輪を私の左人差し指に試させる。
当然、すべて固辞してとにかく食事だけはご一緒したのだが……ここでもお母様は単刀直入に私の“年収”について質問して来て、はぐらかせ切れずに返答したら
「でもまあ、子供は欲しいわよね」とジト目で返され、それとは逆に息子の方は“私の年収”に目を輝かせている様に見えた。
正直、子供は欲しい。それにイケメンの種なら期待も持てる。
しかし、この二人から受けた印象は決して心地良いものでは無かった。
果たしてやっていけるのだろうか?
あれこれ悩んでいるとカレから非礼を詫びるメッセが入った。
『改めて二人だけで会いましょう あなたに秋の香りを楽しんでいただきたいので僕がエスコートします』
との文言で私は今日のデートのお誘いを取りあえずお受けしたのだった。
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