第8話 バスの中から見える社

ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん

「次は、千滝前、せんだきまえ」

「お降りの方は、お近くの降車ボタンを・・・」


ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん

ポォーン「次、停車します・・・車が完全に・・・」


プシュン・・・プシュー

ピ!・・・ガガガガ・・・ピ!

プシュー・・・プッシュン

「発車します・・・お近くの・・・」

「次は、・・・社前、・・・やしろまえ」


「おはよぉー」小声で「おうよ、おはよう」こちらも小声

「昨日の見たか!」「ん?・・・あれか、寝てたわ」

「ちぇっ、しゃーねーなぁー」「すまん!今度は起きて見る」

「いっつもだしよ」「ねみーんだよ」

ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん


「・・・社前、・・・やしろまえ」

ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん


バスが通過する。・・・どぉーん・・・どぉーん・・・

「ん?なんだ・・・」「ん?なんだよ佐々木」

「今、二回太鼓の音がせんかったか?」「ああ・・・社からだろう」

「ああ・・・あれの音か」「だな・・・」

視線を上げると大きな杉の木の隙間から石の階段が見え隠れしている

その先の本殿は見えないが、知っている。大きなご神体があるんだ。

数度となくお参りしに行ったことがある程度だけど・・・

・・・どぉーん・・・

なんて名前の社だったっけ・・・確か・・・


ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん

「次は、万言前、まんげんまえ」

「お降りの方は、お近くの降車ボタンを・・・」


毎日通るバスのはずが、名前を聞いても覚えられないんだよな。

不思議だ・・・

ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん

「次は、奥町役場前、おくちょうやくばまえ」


ぶーぅん、ぐぅっしょん、ぶーぅん、ぐゎんぐゎん


がやがや、ざーざーざー、がやがや。

「「「おはようございます」」」「はい、おはようございます」

「おはよう!」「おいーっす」・・・「はははは」

「今日も君はふつくしい!妹ハニー」「誰が芋じゃ」

がやがや、どたどた・・・

「しゅいーん」「廊下は走らない」・・・「そこ!寝るな!」


・・・出席をとるぞぉー・・・

・・・今日は・・・さんはやすみでぇーす・・・

・・・そおーか・・・はーい・・・


・・・どぉーん・・・


おーい、きこえますかぁー

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