1もふ-平凡と平穏と-
1-1
もふってる場合じゃない。
受験勉強とかどこいったんだ本当に。
恋なんて___。
俺はしがない受験生。
サボりにサボって1週間後に英検を控えている受験生だ。
人生って本当に何があるかわからない。
まさか野球ボールを適当にすぱーんって投げたらキャッチされずに窓ガラスを割るとか、そのまま先生にげんこつ喰らって1時間怒られるとか、トイレ行こうとしたらいきなり雨が降り出して窓から雨が磁石みたいに吸い付いてきて、全身びしょ濡れになってびっくりして半分くらい漏らしたとか、そのまま匂いがすごくて先生に怒られて掃除2時間したとか、友達が「明日誕生日」って自慢するから黒板アート頑張ってみんなで描いたのに何も知らない担任に邪魔って言われて消されるとか、そのままみんなで号泣して翌日先生が精神病んだとか。
思い返せば、いい思い出も悪い思い出も、たくさん宝物がある。
でも、その中でも大切なのは「猫」だろう。
猫吸いこそ至高。
勉強してても猫がいれば吸う。
頭に乗れば撫でる。
膝に乗ったら悶絶する。
これがセオリーだろう。
しかし。
そんな大事な猫より!!も!!!
大事にされているもの!!!
それは「友情」だろう!!!!!
って一人で河川敷で叫んだら警察呼ばれかけて走って逃げました。終わりです。
そんなふうに友情と猫を大事にしてきた俺は、本当に青春でよかったものを考えていた。
勉強?猫?友達?日常?
単語が頭を駆け巡る。
その時、ふっと閃いた。
いや、「恋」かもしれないな。
冗談抜きで何をしているかわからないまま、恋をして。
そのまま成り行きで告白することになって。
翌日その人を呼び出して。
心なんてないままに。
そうして今、今ここにいる。
校舎裏に呼び出した好きな人。
少し照れたような、困った顔を守りたくなった。
なんだかもじもじしているような…?
いやまあいい。とりあえず告ろう。
いや待て心の準備ができていない。
なんだか後ろで蝉が鳴いているみたいだ。
いろんな音がして、なかなか集中できない。
みんなの話し声、通っていく足音、時々響く心臓の音。
「あの、付き合ってk…」
声が出てこない。
前に立っている君の血の気が引いていく。
みるみるうちに白くなった顔は、恐怖で歪んでいる。
あれ、俺、何かやらかした…?
そんな戸惑いを打ち払うかのような痛み。
ズキン、と。まるで恋をした時のように響く。いや、痛いなそれ以上に。
ん??痛い…?心臓が…?あれ?痛い?
もしかして心筋梗塞にでもなった?え??
とたん立って居られなくなるような立ちくらみに、
思わず目を細めて悟った。
あ、これ死ぬな。
そう思ってふっと地面を見る。
地面よりも手前に何か光ってる。
なんだこれ??何が光ってる???
そう考える間も無く、血飛沫が目の前を鮮やかに彩る。
下の芝生も、アスファルトも、見る場所全て自分の血。blood。
あ、これ刺されたんだ。
あの妙な物音。
あれは犯行人だったのか。
そのまま倒れた。
死ぬと思った。
だがしかし、そうじゃなかったのだ。
【速報】一か八かの告白後、どうも世界のスケールが小さくなった模様。 榴ノ葉 @Leaf_0844
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