第26話:月の示す兆し

資料室の明かりの下、服部は過去の資料を再度洗い出していた。

彼の指先がページをめくるたび、異変の輪郭が鮮明になっていく。

断片的だった情報は、双子の姉・霞子の遺志や過去の実験記録と結びついてゆく。


服部はカナタの体調異変とKAGUYA計画の関連を整理していた。

「……KAGUYA計画、その発端は……」


――――

霧子は遠隔でカナタの体調を見守る一方、服部が調査を進めることは、あえて止めなかった。

情報を必要最低限だけ、服部の手元に流れるように。


全てを話すべき時が近づく。

霧子は冷静を装いながらも、胸の奥で葛藤が渦巻く。

カナタの安全を願う思いと、真実の重さの中で、計画の全貌をどのように伝えるべきか。

答えのない選択が、静かな緊張感となり、締め付けるように霧子に迫る。


夜風が窓を揺らす。

微かな光が、街の輪郭を静かに浮かび上がらせる。

全てが、次の決断を待っていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る