第27話:届かぬ想いと時
霧子は研究室で端末の前に座る。
画面に映るカナタのデータを見つめていた。
心拍の異常、微細な光の揺れ、体温の変動。
すべての異変は、KAGUYA計画の影響を示していた。
全てを語れないまま、霧子の胸の奥に焦燥が渦巻いてゆく。
「……こんな状態で戦わせ続けてはいけない……」
手元の端末から、カナタへ休むよう送信する。
しかしカナタは、不安を取り除くかのように戦い続ける。
彼の体調は日に日に悪化していた。
霧子は、真実を告げるべきか否か、自問を繰り返していた。
あの子を守りたいという気持ちと共に、姉の思いと地球の未来、全てが霧子に重くのしかかる。
しかし隠し続けることも、カナタの命に関わるリスクを増やすだけだった。
◇◇◇
服部は資料室の片隅で、黙々と記録を読み進めていた。
机の上には、霞子の遺した古いノートと、無数の実験データが広がっている。
古い実験ノート、霞子の記録、裂け目のデータ。
カナタの異変は偶発的ではなく、KAGUYA計画の影響によるものだと、徐々に輪郭を帯びてゆく。
資料を読み続けるうちに、服部の目は徐々に真実の重みに沈んでいった。
彼の手元には霧子が隠してきた真実の断片が揃ってゆく。
服部の胸には覚悟が芽生えていた。
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