第20話 奪う筈だった者
「良い技だね」
「ん?私か?ありがとう」
今まであまり話してこなかった王野君が喋るなんて珍しい!今後も話してくれるように私も会話に混ざって──
グサッ
「僕が使った方が良いスキルだ」
「かはっ!」
王野が不可視の攻撃で切山の左腕を切り落とす。この程度であれば鏡花のスキルで治療可能だがその苦痛は消えるわけでは無い。
「何してるの?!」
「僕の固有スキルについて話してなかったね、話してあげよう」
王野君の固有スキル?確か【不可視】じゃなかったっけ?自分や物を見えなくするスキルって言ってたけど…実際に使ってたし。
「僕の固有スキルは王権!他人のスキルを自身の権能として3つまで発現させることのできるスキルさっ!つまり僕は──」
王野は自分の胸に手をあえて高らかに喋り出す。要約すると本来多くても2つほどの固有スキルを4つ所持しできるので自分は神だ!と言うことだ。
「手始めに刀神と慈愛の左手を貰おうか」
「切山さん!」
王野が切山に手を向けその額に触れようとした瞬間に不可視の何かが王野の腕を切り裂いた。
「なっ?!」
「えっと…よく分からんけど敵ってことで良いんだよな?」
「蓮兎君?!何でここに…」
王野の腕を切り裂いたのは風だ。本来はFランクの
「ちっ、王権発動──」
「何もさせないぞ?」
シュパンッ
瞬きの間に距離を詰め王野の両腕を切り落とす。そして傷口を妖焔で燃やし再生を阻害する。
「俺、俺の腕がぁッ?!」
『あ、思い出したこいつ、お前とどっちに加護やるか迷ったやつだ』
「そうなのか?そんな強そうには見えないけど」
『心の中に邪悪な心を秘めてたからな、利用しやすいと思ったんだが何せ固有スキルが暴食の下位互換だし』
「あ、確かにそうじゃん!お前の固有スキル
スキルの吸収…どっかで見たことあるな、魔王が持ってそう。
「あ?俺は固有スキルを4つも所持してるんだぞ?お前なんかとは格が違う!」
蓮兎は自身のステータスを確認して固有スキルの数を数える。
「俺の固有スキルは10個だ。さっき縮地増えたからな」
「…は?」
◇10分前 オルグス大迷宮20層◇
「いただきますッ!」
意を決して焼いた巨狼の肉に喰らいつく。タイヤを噛んでいるような食感とこの世の苦味を凝縮したような味だ。肉汁は多いが獣臭で臭くとてもじゃ無いが食えた物では無い。
ゴックン
「はぁはぁ…不味すぎて体力減った気がする」
『実際ちょっと減ってるな…毒なんじゃないか?』
「これ毒なのかよッ!」
スキル 縮地 を獲得。
「ん?何かゲットしたみたいだな」
名前 縮地
効果 自身の視界に映っている足場のある場所に即座に移動することができる。壁や障害物を抜けることはできず見えていてもその場にとどまることになる。千里眼などの視界を増やすスキルを抜きにした視界を参照する。
「つまり限定的な瞬間移動か」
『移動結構楽になるんじゃね?これで攻略捗るな!』
「はぁ…頑張りますよ」
スキル 聴覚強化B を獲得。
「ん?まだ獲得したんか」
『あんま使わなさうだな、無駄なとこで運使いやがって』
「酷くね?いつか必要になるかも──」
スッ
蓮兎がいきなり立ち上がり周囲を見渡す。だが何かあるわけでは無く立ち尽くしているだけである。
「今何か聞こえなかったか?何かが切断される音みたいな…あと悲鳴?」
『何も聞こえなかったが?』
「確かに聞こえたはずだ…聴覚スキルのおかげで聞こえたのか?空間把握のスキル全開にしてみるか」
シュワァァン
蓮兎の察知がダンジョンを支配し上下10層ほどの地形、人物、出来事などを把握する。
「クッソ…やっぱ一気に使うと情報量凄くて頭痛ぇ」
『精神攻撃軽減のスキルでも獲得すれば良いのに』
「そんなのあるの?!まぁそれより鏡花達の方に助けに行くのが優先かな?何と無くだけど情報を把握したしッ!」
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名前 王野裕人
職業 複製師
性別 男
レベル 28
スキル 魔術D 拳術C 複製A 風魔法B 黒魔法C 怪力E 疾風C 自然治癒B 鑑定眼C 空間把握E
固有スキル 王権 不可視(王権)
称号 奪う者
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