第7話 へんたい

「はあ、はあ、はあ、はあ……」


 苺パンツの付喪神 いちごはフラフラと歩き、くりすを拘束しているロープを切った。

 愛しい者の隣で、綺麗な夜空を見上げた。


 ………消えていく………。


 オレの……。オレの存在が……。この世界から消えていく………。


 ああ……もう一度……。最期に………履かれたかったな………。


 くりすに…………。


 意識がだんだんと失われていくなか、女神のような暖かい手に包まれ、オレは存在がこの世界から消――――


「 ふおおおおおおおおッ! みなぎるううぅぅぅっ! 」


 女神に履かれた瞬間、失った すべての活力と記憶が蘇る。

 身体中にくりすの霊力が流れ込んでくる。


「大丈夫、パンツくん――!」


 股間に履いているオレに声をかける。


「くりす、おまえどうして?」


「……よかったぁ……パンツくん……よかったよぉ……」


 泣き崩れ、オレをスカートの下に履いたまま涙を流し続けた。

 そのとき、オレはある『重要』なことに気づいてしまう。


「お、おまえ……ま、まさか……いままで『ノーパン』だったのか?」


「うん……」


 照れた顔つきでうなづいた。


「な、なぜ……?」


 顔を真っ赤にし。


「パンツくん以外に……履けるわけないよぉ……」


 神。


「オレが生きていることを知っていたのか?」


「うん……」


「じゃ、じゃあ、なぜ履いてた? なぜ、オレが付喪神だとわかっていて履いていたんだ?」


「興奮してた……」


「え?」


 恥ずかしそうに、嬉しそうに――。


「パンツくんを履いて……興奮してたぁ……」


 この女…………。



( 変 態 じ ゃ ね ぇぇ か ぁ !  )



 最 高 かよぉ……(ゴッド


「えへへっ。これからもずっとよろしくね、パンツくん♡」


 さらに霊力が身体の内側から滲み出てくる。


 ◆◆◆


 学校への通学路を くりすと共に歩んでいく。


「今日もおまえを守るぜ!」


 気合を入れて履き主に思いを伝えた。


「あそこから? 変態すぎー、いちごくん♡」


「おまえがいうなっ(笑)」


「あははっ、だよねぇ(笑)」


 オレたちは笑い合って、共に人生を歩んでいく。


 これから探偵をやったり、世界を救ったりするのだが、それはまた別のお話しである。


 to be continued?

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苺パンツはご主人様の〇〇に帰りたいのです。 佐藤ゆう @coco7

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