雨の日、バスにて

るなねこ

第1話

今日はどんよりとした天気だ。

今にも雨が酷くなりそうで、気分も下がる。

そんな日に限って私はバスである場所へと向かう。

バスの窓に滴る水滴。

雨の中走るバスの音。

少し濡れた服。

私は、本を読みながら片道三十分、ゆらゆら揺れながら目的地に着くのを待っている。

乗ってくる人は、皆傘を閉じて濡れた服の水滴を落としてバスへ乗る。

私はその光景を見ながら本を読む。

そして、バスは少しずつ目的地へと進んでいく。


あるバス停から一人の少年が乗ってきた。

年齢は大体中学生くらいの男の子だ。

その子は私の目の前の席に座る。

私は年下の男の子がタイプだ。

その子を見て少し頬を赤らめた。

なぜなら、とても可愛く素敵な少年だったからだ。

その後もバスに揺られながら、私の鼓動も脈を打つ。


数分後、前に座っている少年が「止まります」のボタンを押した。

ここでお別れか…と思った。

そして、少年の目的地に着く。

しかし、彼は傘をバスの車内に置き忘れたのだ。

咄嗟にそれに気づいた私は声をかけた。

「あのっ!傘…!」

すると、少年は焦る様にこちらに戻って、ありがとうございますと一言お礼を言って立ち去って行った。

私は、少年と話せて嬉しい気持ちになった。

ほんの些細な事でも人を幸せにする。

雨の日も悪くないなと思った。

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雨の日、バスにて るなねこ @runa_neco

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