4_粘るAI? 曲がるビームアロー!!

「シェシェ・バール=シェバ!! なんか臭いしねえか?」

《わたしに嗅覚はありません》

「エアロゾルデータで解析できんだろが!! 俺の大っ嫌いな発酵食品の臭いみたいのがする!!」

《……? 私は今確かに。チーズにまで考えを及ぼしましたが?》


 オーメン!! なんやぞ? このAIのトチ狂いぶりは!! ミリアムの、ミリアムさんの。イカレたプロンプトは根が深すぎて……、がっふ!!


《抜けている場合ではありません! ドーガ、来ますよ、敵三機!!》

「テメーのせいだろが、シェバ!! まあいい、ぶっかましてやる!! 放つ! ビームアロー!!」


 俺は、ビームボウを引き絞って!! 奴らの先頭のアームドアーマー、ゼル・ゼルに向かって! ビームアローを放った!!


 が!! あんだアイツは!! 超高速で飛んでった『ビームアローを機敏に躱しやがった!!』


〘はっはっはっはっは!! 年の功って奴でなぁ!! 俺には、直線軌道の武器の動きが『止まって見えるんだよ!!』躱すなんて容易いぜ!!〙


 アームドアーマーの無線回線に飛び込んでくる、野卑で粗暴で、そしてねばりつく、ゼル・ゼルのパイロットの声!! まるで、レウペウ父さんが昔囚われて。こき使われたという、野蛮海賊ラージットって奴の声みたいじゃないか!!


〘うおー!! 親分かっけー!!〙


 と、アホそうな声。それに。


〘老境海賊の戦力、舐めた物でもないな〙


 とか言う、知的な声も。俺のコックピットに飛び込んで来た。


〘いっくぜえ!! 出ろ!! ビームポールアクス!!〙


 ゼル・ゼルのパイロットは、そう吼えると!!

 アームドアーマーの全長よりも長い、バカデカイ刃の付いたビームアクスを発生させた!! あっちゃー! 馬鹿じゃねえか? あんなもん、すぐにアームドアーマーの蓄電を使い切っちゃうよーな代物じゃないか!!


〘んじゃ!! イガペーさんも行くよん!! 出ろ!! ビームダガー!!〙


 ?! シュリックのパイロットの声と共に!! 俺のシェバに向かって! ビームの短刀が高速で投擲された!!


「くっ!! シェバ!! リパークシールド!!」

《イエス!! GO!!》


 俺がシェバに下した、防御結界展開命令でリパークシールドが張られ、その電磁干渉で。シュリックが投げたビームダガーが消し飛ぶ!!


〘ほう? やるじゃないか。では、今度は私だ!! 行け!! ビームワイヤー!!〙


 くっは!! 三対一キッツ!! 今度は、中距離まで近づいてきた、ウェオ・ペルテンのビーム斬糸攻撃!! 厄介なっ!!

 俺はシェバのスラスターを吹かして、立体上方に退避!!

 ビームワイヤーの範囲外に出る、が!!


〘ギャッハッハ!! イージーチャーンス!! くったばりなぁ!!〙


 そう言って!! 待ち構えていた、ゼル・ゼルの!!


〘ギロチンアクス・スマッシュ!!〙


 とか叫んで振り下ろされる、光の巨斧の強撃!!


「やべっ!! 死んだっ!!」


 やっべ!! 俺死んだ?! こいつら!! 相当な手練れだぞ!!

 あのビームポールアクスの直撃が入ったら!! やっべ、シェバも耐えられるか?!


《貴方は死にませんよ、ドーガ》

《貴方を守るのが、貴方の鎧》

《このシェバ。シェシェ・バール・アンティヌスの役割です!!》


 ほあ~⁉ どう考えたって、リパークシールドで防げるはずもない。

 あの一撃を、シェバの奴は『リパークシールドで受け止めやがった!』


 ただ、いつもだったら。負荷を超えた時に、容易く割れるリパークシールドが。

光の飛沫を放ち、妙な粘性と湿度を持っているように見えたのは。

 なんだろうか?


《さて、ドーガ。反撃ですよ!! 『弓士王太子』サジタリウス・プリンスの見せ場です!!》

「オッシャー!! かますぜっ!! 行きなっ!! チャージオーラ・アローズ!!」


 と叫び様。俺は12弾の光矢を敵に撃ち込んだ!!


〘効かねえって!! 言ってんだろ!! 当たらねえんだよ、直線軌道はッ……⁈ なにっ?!〙


 ゼル・ゼルのパイロットが驚愕した!! そして俺も驚愕した!!

理屈はわかんねえが、俺の放った。いつもだったら直線軌道のビームアローが。

光の飛沫を放ちながら、ホーミングするみたいに曲がって! 敵の三機に全弾命中!!


「……なにが、起こった? シェバ?」

《旨い粘りでした。私は今。ミリアムさまのプロンプトを消化しきった。そう言う事です》

「いや、意味わかんねえんだけど……」


 意味わかんねえが。ホーミングアローが撃てるとなれば!!


 勝てる!!

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