第10話
茉莉花からのサッパリしたものが食べたい
というリクエストから
胡麻の冷やし中華にすることになった。
麺、きゅうり、トマト、ハム、卵を籠に入れ
ついでにデザートにゼリーと、夜食のお菓子を籠に入れる。
「お酒も買っちゃう?」
「買いません。お勉強するんでしょ」
「ソウデシタ」
浮かれた様子で笑うの茉莉花につられて
私も笑う。
家に着くと、おじゃまします。と茉莉花が言ってあがる。
新しくはないけど、特別古くもない
普通の一軒家。
「私冷蔵庫に食材入れるね。
階段上がった突き当たりの部屋が私の部屋だから
荷物置いて待ってて」
「私もお手伝いするよ!
すぐ置いてくるから待ってて!」
そうすると、パタパタと2階へ上がって
すぐに戻ってきた。
一緒にリビングの扉を開けると、茉莉花は声を上げた。
「写真すごい…!」
壁面の収納棚には、沢山の写真たてや大量のアルバム、その当時の思い出の品や
ママが使っていたデジカメなどが並べられている。
そして一際広いスペースには、少し大きめなママの写真と
ガラスケースに入ったエンゲージ、マリッジリング、一輪挿しに大輪のダリア
おりんと線香立てが置いてある。
「今時の仏具って、オシャレなんだね」
「私もそれ、買う時思った!
ママがね、『仰々しいのは似合わないから、いい感じにしてね!』って。
自分で色々調べててさ。縁起でも無いからやめて〜って思ってたけど
ママなりに、笑顔にしようと色々考えてくれてたんだと思う。」
茉莉花が手を合わせてくれてる間に
買った食材達を冷蔵庫に入れる。
その後布団を取り込むのを手伝ってもらい
私が布団を持ち
茉莉花に飲み物を持って貰って
私の部屋に入った。
「壱華の部屋おしゃれだね」
「ここ、パパの部屋だったのをほとんどのそのまま使ってるの。パパの趣味だね。」
白×グリーン×ウッド調になっているのは
元々私の部屋は無かったからだ。
ここはパパの仕事部屋で
私は中学生3年生まで、1階の和室で寝てた。
ママが入院する前はまだ小学生だった私は
パパとママと3人で布団で雑魚寝だった。
ママの体調が悪い時
すぐに誰かが気付けるように、すぐに電話と玄関に向かえるように、あとは私が寂しく無いように…。
ママが入院してからしばらくはパパも和室で寝てたけど
私が中学生になってから、年頃の娘を気遣ったのか
リビングのソファや、2階の客間で寝るようになってた。
「パパが単身赴任になるとき、自室があった方がいいだろうって言って
ベッドだけ買い足して、デスクとかはそのまま使わせて貰ってるんだ」
「パパが帰ってくる時はどうしてるの?」
「隣に客間とベッドがあるから、そこ使ってる。」
「パパお客さん扱いなの?!」
たしかに!と笑うと茉莉花も笑った。
話もそこそこに、目的のテスト対策を始めた。
気が付いたら大分陽が傾いて
部屋は暗くなってきていた。
「そろそろご飯にしない?」
茉莉花へ声をかけると待ってましたとばかりに顔を上げ、大きく伸びをした。
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