第11話

あーでもない、こーでもないといいながら

冷やし中華とサラダをつくり

食後のゼリーまでしっかり食べた。


お菓子を持って部屋に戻ってからは

数時間、昨日の授業の復習をして

21時ぐらいに終わりにした。


「私こんなにガッツリ勉強するの、本当中学生以来なんだけど!

こんだけやったら、学年上位も夢じゃないんじゃない?!」

「たしかに〜」

「返事適当じゃない??」


でもたしかに、茉莉花は飲み込みがいいから

この勢いでやってれば、本当に上位に入れると思う。

地頭が良いんだろうな。羨ましい。


お風呂に入り、布団を敷いて寝る準備をする。


「1日中壱華といれるの嬉しい〜!

勉強合宿って感じ?」

「うちは合宿所扱いなの?」

「そうじゃないーー!雰囲気がだよ!」


わかってるよ、と揶揄い笑う。

こういう雰囲気の時ありがちな、恋バナ…

とはならず、茉莉花の中学時代の話になった。



「私ね、大和と幼馴染なの。幼稚園の頃からずーっといっしょだった。

だからね、初恋も大和でずっとずっと追いかけてたの。

大和は恋愛とかそういうのはわかって無さそうだったけど

一緒にいる事が当然の事だとは、思っててくれたみたい。


中学に入って、大和が優、旭、蓮司と仲良くなって

私もそこに一緒にいたの。


その当時はまだ、皆んな髪は染めて無かったけど

あの4人、見た目とか雰囲気が目立つでしょ?

見た目だけじゃなくて、よく色んな人と喧嘩したり

自由だったからさ。そういう意味でもよく目立ってた。


年頃になって、男女の関わり方も変化していく中

当然な様にあのメンバーに混ざる私は

他の女の子達とか先輩から、あまりいい見られ方されなくて。」


懐かしそうに言う茉莉花の様子に

その話の続きを想像出来たが、あまり気にしていない様に見えて

ちょっと安心する。


「結構ベタないじめにあったけど、他の人を気にして

大和から離れるとか考えられなくて。


開き直って堂々としてたら、そのうち誰も何かをしなくなった。

ただ、避けられて腫れ物みたいにされた。


中学3年間は、大和達としか話せなかったし

大和達すぐに学校出てどこか行っちゃってたからさ。

だからね、こうやってちゃんと女の子の友達になれたの

壱華が初めてなの。


だから高校で仲良くなった壱華をね

中学の時を私を知ってて、仲良くしてた人達と大和に紹介できて

更には仲良くなってくれたのが

私すごくすごく嬉しかった!」


私のエゴなんだけどね。と、茉莉花は言うけど

私はそんな大切な友人達を紹介してくれた事が嬉しかった。


「ありがとうね」

「うん、これからも仲良くしてね!ついでに皆んなとも仲良くなってくれたら

もっと嬉しい!

見た目派手だけど、怖くはないから。悪い事はしてるけどね!」

「なんとなく知ってる」


そうやって笑ってる時、ふ、と昨日のことを思い出した。


「昨日の帰り、繁華街の方を通っちゃって。困った事になった時に

偶然優くんに助けてもらったのね。


繁華街について蓮司くんから忠告されたり、そこに優くんがいたり

なんか縁があるなって思ったんだけど

なんか知ってる?」


「色々つっこみどころ多いなぁ!」

そう言って困った顔した茉莉花に

首を傾げた。

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