第2話 ユニークスキル


「連合?」

「太聖連合という聖神側の国々の連合じゃ」

「聖神側の連合……」 

「うむ、おぬしはユニークスキルを持っておる。ここに将来性が認められれば、支援を受けられるはずじゃ。」

「なるほど」

「何はともあれ、お主も疲れたであろう。この教会の一室を貸そう。しばらく休んでおきなさい」

「何から何までありがとうございます」


 その後も少し会話をした後、部屋に向かうことにした

 エルモス神父はカリムさんと話があるようだ



 修道士さんに案内され個室に来た。

 教会の隣の建物だ

 夕食の時まで休んでいていいとのことだ


 

 部屋に一人になって、改めて現実か疑ってしまう。

 夢だと思いたいが、鮮明な視界、はっきりとした意識

 簡素なベッドの感触が現実だと言っている


 いや……考えても無駄だ。

 今とこれからが問題だ


 休もうかと思ったが、眠気も疲れもない。

 俺はステータスを確認してみることにした。


 自分のステータスは念じるだけで確認できると聞いた

 試してみよう

 

 (ステータス)

 


 さっきと同じステータスが空中に現れた

 ホログラムのディスプレイのようだ


 エルモス神父の話では

 このステータスというものは、聖神が作ったらしい

 その者の魂の力を使えるようにしたものだとか


 ……神もRPGやるのか?

 

 いろいろ気になる点はあるが、

 とりあえずユニークスキルを試してみることにした。


 スキルは念じるだけで使えるそうだ

 何となく、右手に意識を集中して念じてみる


 (ユニークスキル「万能物質」)


 すると、右手から白い光があふれ

 真っ白な粘土のようなものがでてきた


 (……これが万能物質?)


 こねたり握ったりしてみる

 何も起きない、ただの粘土だ


 硬くしたり、重くしたりできないか試してみるが、ただの粘土しか生成できない


「なんだコレ」


 (……万能って…名前負けしすぎじゃないか?)

 


 ん?


 一度ステータスを開いてみると、魔力が少しづつ減り続けていた


 粘土をもう一つ出してみると、MPが減り、

 その後、より早く魔力が減っていくようになった

 

 どうやら、この粘土を出すときにMPを消費し、

 出している間も常にMPを消費するようだ



 しばらくユニークスキルを試していたが、

 レベルが1だからか、粘土が出るだけだった

 


 


 コンコン

 

「リクトくん、夕食が出来たよ」


 修道士さんに案内されて、食堂のような場所に来た

 カリムさんとエルモス神父も居る


 自分の分の夕食も用意しておいてくれていた

 感謝を述べながら食べ始める


 夕食を食べた後

 エルモス神父がこちらに目線を向ける

 

「リクトくん、とりあえず、君はここに孤児として保護されることになった」

「何から何まで本当にありがとうございます」

「気にすることはない。太聖教の者として当然のことじゃ。それより、お主のこれからじゃな」


 食事を終えた修道士たちが食堂から出ていき、

 俺とエルモス神父、そしてカリムさんが残った


「連合には手紙を出した。おぬしはユニークスキルを持っておるから、間違いなく支援は受けられるじゃろう。じゃが、お主が実際に学園への入学などの支援を受けられるのはまだまだ先じゃろう」

「だから俺が指導することになった」


 カリムさんが言う


「願いの試練を攻略するには、武術、知識、いろんな物が必要だ。早めに始めておいて損はない」 

「なるほど」

「で、だ。」


 低い声でカリムさんは続ける

 

「無理難題の試練を攻略するってんなら、キツイ訓練が必要だ。何年かかるか分からんし、途中で死ぬ可能性のほうが高い。」


 威圧するような視線を向けてくる


「それでもやるか?」


 怖い、だが、自分でも驚くほど、俺の意思は揺るがなかった


「はい!やりたいです!」


「…一生無理かもしれん、得るものもあるだろうが、失うものも多いはずだ。それでもか!」


「はい!やります!」


 カリムさんから目をそらさずに答えた


「……いい目だ。やる気は十分あるようだな!いいだろう指導してやる。」 

「ありがとうございます!」

「早速今から特訓だ!!」

「はい!!」


 そのままの勢いで、カリムさんとともに走り出す

 

「よしなさい、君たち。もう夜も遅い」


「おお、そうだな、よし、明日の朝から特訓だ!」

「はい!」


 エルモス神父は呆れたような顔をしていた

 


 

 

 

 



  

 


 


 

  


 


 


 


 


 


 

 


 

  

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る