第11話 障害の予兆

廃墟の街を進む花たちを、突然、緊張が覆った。


「朔夜、止まって。誰かいる」 俊が、鋭く警告を発する。


朔夜はすぐに立ち止まり、警戒した。「何人だ? 」


「五人。装備から見て、他国から送り込まれた特殊部隊のようだ」俊は、冷静に分析しながらも、声には緊張が走っていた。


兵士たちは、三人の存在に気づくと、すぐに異能の光を放ちながら、一斉に襲いかかってきた。


攻撃が迫る中、朔夜は、花と俊を庇いながら、すぐさま瓦礫の影に飛び込んだ。


「チッ、面倒なのが来たな!」


朔夜は瓦礫を掴み、異能を発動させた。


キュオオン!


瓦礫が弾丸となって兵士たちめがけて高速で飛び出し、彼らの異能の防御や攻撃を打ち砕きながら、コンクリートの壁に激突した。爆発的な衝撃が兵士たちの隊列を乱し、何人かが吹き飛ばされる。


朔夜の圧倒的な攻撃の前に、数人の兵士が負傷して退却していくのが見えた。


「ふう、なんとか撃退したな」朔夜が額の汗を拭い、花と俊に振り返った。


「ありがとう、朔夜さん」花は安堵の息を漏らす。


俊はしかし、顔を曇らせていた。「この先に進むには、常にこういう危険がある。どうやってこのエリアを抜けるか、もう少し慎重に――」


俊が話し終えるよりも早く、三人の背後の空間が突然歪んだ。


ズガッ!


黒いフード付きのパーカーを纏い、細身のズボンを履いた人物が、ほとんど音もなく現れたかと思うと、朔夜の背中に強烈な蹴りを叩き込んだ。


朔夜がその人影を視認できたのは、体が宙を舞い、蹴り飛ばされるその瞬間からだった。


「がはっ!」


朔夜の体は瓦礫に激突し、激しい痛みに呻いた。花と俊は、突然の出来事に言葉を失った。


「……誰だ…?」朔夜は立ち上がりながら、目の前の人物を睨みつけた。


黒い鉄製のマスクで顔の下半分を隠し、長い黒髪を風に靡かせた少年は、冷たい視線を向けている。彼の言葉には、どこか冷たい怒りが感じられた。


朔夜はすぐに異能を発動し、地面のコンクリート片を弾丸と化して少年めがけて投げつけた。


キュオオン!


コンクリート弾は、少年めがけてまっすぐに飛んでいった。少年はごくわずかに体を揺らし、まるで予期していたかのように、全ての弾丸を紙一重でかわした。


「なっ……避けられてる!?」朔夜は驚愕した。これほどの超至近距離で、これほど完璧に攻撃を避けられた経験はなかった。


少年は、朔夜の驚きをよそに、再び音もなく朔夜の懐に入り込んだ。朔夜が反撃しようとするよりも早く、少年の左拳が朔夜の腹に鋭くめり込んだ。


ドスッ!


「ぐぅっ!」


朔夜は息を詰まらせ、そのまま体勢を崩した。少年は追撃の手を緩めない。朔夜が再び体制を立て直そうとする寸前、少年の右足が朔夜の顎に正確に叩き込まれた。


バキッ!


朔夜の体が、無抵抗に地面に倒れ伏した。


「一体……何が……起こって……る?」


朔夜は、強烈な衝撃で全身が麻痺し、目の前がチカチカするのを感じた。痛みと混乱の中、かろうじて意識を保っているのが精一杯だった。

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