第4話
ペガサスになって、
自由を手に入れたアリスが、
空を駆けていると、
突然、
蒼いペガサスが現れて、
並走し始めました。
「誰よ、あんた」
アリスが問いかけると、
蒼いペガサスは言いました。
「綺麗な白いペガサスが飛んでいたので、
ついつい付いてきてしまいました。
よかったら、
向こうにピンクの湖があるので、
一緒に行きませんか?」
アリスは言い返しました。
「新手のナンパ?
私は今、自由を謳歌しているの。
邪魔しないで」
蒼いペガサスは微笑みました。
「まあまあ、そう言わないで。
本当に美しい湖なのです」
アリスは心が揺れ動きました。
(そうね。
せっかく、
王女という桎梏から解放されたんだから、
デートくらい楽しんでもいいかもね)
「分かったわ。
行きましょう。
そのピンクの湖へ」
二頭のペガサスが、
空を並走していると、
美しく輝くピンクの湖が見えてきて、
二頭は静かに降り立ちました。
すると、
蒼いペガサスは、
紳士に変わりました。
アリスは驚きました。
「あっ、カイン様。
いや、死神!」
紳士は低い声で言いました。
「魔女め。
よくも裏切ってくれたな。
王女を拉致するどころか、
王女と暮らすなんて」
「ち、ちがうわ。
私は魔女じゃない。
アリスよ」
「見え透いた嘘を言うな」
「本当よ。
あなたがペガサスにした、
強力な呪いを解いてみるといいわ」
紳士が呪いを解く呪文を唱えると、
そこにはアリスの姿が現れました。
紳士はビックリしました。
「おお、
本当に愛しのアリス王女ではないですか」
「久しぶりね。
あなたのほうこそ、
私を拉致しようとしてたくせに」
「それは申し訳ないことをしました。
あの時の私は確かに
しかし、あなたに振られて、
魔女にも逃げられて、改心したのです。
ところで、魔女はどこへ行ったのです?」
「魔女なら、
私と入れ替わる魔法を使って、
王女アリスに扮してるわ。
でも、
あなたの呪いが解けたから、
今頃、火あぶりの刑に遭ってるかもね」
驚いている紳士に向かって、
アリスは続けて言いました。
「あなたのほうこそ、
前とはずいぶん雰囲気が変わったんじゃない?」
「はい、その通りです。
失恋のショックで、
地獄巡りをして、
心身ともに、以前よりも清らかになりました」
「じゃあ、私たち、
これで元の
「そういうことになりましょうか。
時間はかかりましたが、
駆け落ちも成功ですね」
アリスはふと疑問をぶつけました。
「あなた、名前は?
カインのままなの?」
「いろいろありましたので、
カインからアベルへ改名しました」
「アベルね。
こっちの方が断然いい!
旧約聖書の兄カインから、
弟アベルに変えたのね」
「はい。心機一転。
アベルとして、
生き直そうかと思います」
こうして二人は、
ピンクの湖のほとりで、
再び愛を誓い合いました。
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