第3話

アリスは、

ペガサスの視線を背中に感じながら、

心の中で叫びました。


(へへへへへ!

まんまと、

アリスと入れ替わることが出来た。

このチャンスを待っていたのよ)


(ほほほほほ!

誰も私が魔女で、

ペガサスがアリスに入れ替わっているなんて、

気が付かないだろう。

まんまとアリスの心の奥の襞に忍び込んで、

魔法をかけることが出来た……)


(ふふふふふ!

笑いが止まらない。

死神から逃げられた上に、

まさか王女と入れ替われるなんて。

棚からぼた餅二つ。

これが希望ってやつなのね。

アリスには悪いけど、

私はこれから、

王女として、

輝かしい未来を生きていくわ!)


一方、

ペガサスになったアリスは思いました。


(あはははは。

うまくいった。

何もかも計算通り!)


アリスは笑いが込み上げてくるのを、

必死に抑えていました。


(あの魔女、

殊勝にしてたけど、

性格悪いの見え見えだった。

だから、

絶対いつか、

入れ替わりの魔法とか、

何か仕掛けてくると睨んでいたら、

まさにビンゴ!)


(ふー、とにかく、

私は王女という重責から、

いいえ王女という桎梏しっこくから、

解放された)


(でも、

あの魔女も私も、

お互いに入れ替わりたいと思っていたようだから、

ウィンウィンかもね)


ペガサスになったアリスは、

アリスになった魔女が、

宮殿に入っていくのを確認すると、

じわじわと実感が湧いてきました。


(あの宮殿という伏魔殿とも、

これで、おさらばね。

ちょっと名残惜しいけど……)


(でも、これが、

長年憧れていた自由なのね。

ヤッホー!

そもそも、

死神のあいつに、

駆け落ちしようとそそのかされて、

まんまと乗っかってしまったのは、

私の脱出願望や変身願望を見透かされていたのね。

さすが一度は私が愛した男。

やるじゃない!)


(それにしても、

こんなに思い通りにいくなんて……。

思い通りに生きられない、

王女として耐えに耐えてきた私へ、

きっと神様がご褒美をくださったんだわ)


ペガサスになったアリスは、

空を見上げました。


(さて、

これからどこへ行こうかしら。

ペガサスだから、

時空を超えて、

どこへでも行けるわね)


(今までは、

不自由すぎて苦しかったけど、

今は、

自由すぎて苦しいくらいだわ)


ペガサスになったアリスは、

背中の白い翼を軽く動かして、

その感触を確かめました。


(まずは、やっぱり、

空を飛んでみたいわね)


そうして、

ペガサスになったアリスは、

金色と銀色が溶け合ったような空を、

まるで階段があるかのように、

翼を羽ばたかせながら、

駆け上がっていったのでした。











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