第24話 好物
ステラはリルを探しに、リジェールまで歩いてやってきた。
アルリフラ帝国との国境近くの洞穴を目指す。
洞穴を見つけ中に入ると、ここで寝ていたであろうリルの抜け毛を見つけるが、気配を探しても、近くにいる気配を感じない。
どっか行っちゃったか。
まあ旅していたらどこかで見つかるでしょ。
よし、当初の予定通り、大陸の東側に行こうと決断する。
本来、大陸の東に行くには帝国に入国し、サンシーに向かい、コージーからか、サンシーから南下するのが一般的であるが、ステラは違う行き方を選択する。
リジェールからウンベラータ王国内で南下しパウヴレーゼへ向かい、海岸沿いから魔の森を抜ける方法を選択するのであった。
一月掛けてパウヴレーゼに到着したステラは、魔の森に足を踏み入れた。
魔の森には、奥に行けば行く程、強力な魔物が出ると言われている。
しかし、森の浅い部分では比較的危険度は低い。
しかし、海岸沿いの森には海の魔物が出ると言われている。
この魔物が強くて、海岸沿いを進む者は皆無である。
ステラは順調に海岸沿いを歩いていた。
そこに、巨大な鋏を一対持つ魔物が現れる。
ステラは魔物を見て、不敵な笑みを浮かべる。
「やった。待ってたのよ。早く来なさい。美味しく食してあげる。じゅるっ。」
魔物がステラを襲おうと右手の鋏を伸ばしてくる。
ステラはそれを結界で弾き飛ばす。
右手の鋏が弾かれた魔物は左の鋏で挟もうと左手を伸ばす。
「アエラス・斬。」
ステラは魔法を唱え、左手を根元から斬り飛ばす。
「さあ解体の時間よ。」
魔法を使い手足を綺麗に切りわけ、胴体だけの魔物を魔法で両断し、巨大な鍋を取り出した。
今日は蟹すきだ。
鍋に水魔法で水を張り、切り落とした身を鍋に投入。
海岸沿いに打ち上げられている昆布を拾い、水魔法で洗浄し鍋に入れ塩で味を調整する。事前にパウヴレーゼで購入した野菜を入れ、蟹すきの完成だ。
こうしてステラは蟹すきを満喫したのであった。
一月後、アゴベイ共和国に到着したステラの収納ボックスの中には、海岸沿いで討伐した蟹の魔物と昆布が溢れるほど大量にあった。
流石に蟹に飽きたステラは、アゴベイ共和国に入ると、宿に泊まり、肉料理を中心に食べる。
これからどうするか。
北上はない。
北上するならサンシーから南下すれば良かったのだから、このままアゴベイ共和国を東に横断し、プルニエ王国に行くか、途中で、北上し、フェルメール王国に行くか。
カニ料理にいい加減飽きていたステラは、カウ料理が食べられるフェルメール王国を目指すルートを選択するのであった。
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